ダイハツの認証試験不正から約１年。新車販売ができない中でとった方法
逆境をどう乗り越えるか。ダイハツ販売店への影響
インタビュー：石田 正覚（いしだ しょうかく）
カーサービスのイシダ 代表
ダイハツ工業の不正が発覚してから、国内での新車の販売停止が相次いだ。その影響は当然販売店にも及び、新車の販売ができなくなり、客も購入したくてもできない状態に。そのような逆境の中、整備工場を営みながらダイハツの販売店であるカーサービスのイシダでは具体的にどのような影響があったのか。どう対応してきたのかを聞いた。
ダイハツの不正行為について改めてその内容をお聞かせくださいますか
昨年４月に社内内部通報で、海外向けの一部の乗用車での側面衝突試験の不正が内部通報により発覚しました。その後、国内向けの車種においても不正があったことがわかり、一部車種が販売停止となりました。
その後、第三者委員会を設けて外部から調査を開始し、過去の事案まで調査をしました。その結果、12月の第三者委員会による調査報告発表で、現在販売している全車種に不備があるということで、販売停止に至りました。後に正規の方法で試験したところ、問題がなかったとのことでしたが、新型車の発売前に行う安全性の試験をルール通りに行っていないということが一番の問題です。
ダイハツ車の販売停止によってどのような影響がありましたか
当社はダイハツのディーラーから車を仕入れて、一般のお客様に販売する販売店になります。メーカーではなくディーラーから仕入れる形態となっています。昨年の５月に、販売停止になった車種を希望していたお客様がいて、販売停止になったために購入できなくなり、その代わりに別の車種に変更しました。
その車両が12月の終わりに完成する予定だったのですが、その車両が期限に間に合わず、完成しなかったという状況の中で、また販売停止になり販売することができませんでした。当社は整備工場なのもあり、年間多くの販売を行っているわけではないのですが、他の販売店でも同様に様々な影響を受けている可能性があると思います。
お客様の中には、報道を見て、自分の車が本当に大丈夫なのかという心配されている方もいるのではないでしょうか。
ダイハツからの発表では、基本性能に問題はないとされており、試験で確認されている走行や停止、曲がりなどの基本性能は安心して車を続けて利用していただけるとのことです。現在の車に関してはすぐに何かが変わることはないので、安心してご利用いただけます。
現在は、問題がある箇所を国と協力して調査し、必要な対策を講じるかどうかを確認しています。１台１台について詳しく調査し、何か問題があれば迅速に発表するとのことですので、現在その結果を待っている段階です。
車を購入いただいたお客様とのコミュニケーションを通じて、安心していただけるようにしています。ダイハツでも車の購入から車検や点検まで、関連する業務を担当している部署がしっかりと対応しています。
それでも不安はあると思います。お子さんを乗せたりするご家庭で、本当に大丈夫なのかと心配になり、新車を頼んだけどもキャンセルしたという事例も聞きました。
コロナ禍はあまりできませんでしたが、例年イベントを行なっています。その中で新車を何台か並べての展示会も行うのですが、昨年は感謝祭という形で１回だけの開催となりました。
もともと半導体の不足で納車の遅れもあり新車自体が不足していました。展示する車がないので、当社で販売したお客様に来ていただき、その車を見てもらうイベントになりました。ディーラーでも展示車が足りていない状況でした。ダイハツでは一部の車種で衝突安全装置の自動ブレーキがないモデルも作り、その分半導体を使わなくて済むため少し納品が早くなるという対策はしていました。他のメーカーよりも出荷するペースは早かったと思います。
販売店としてダイハツ車を売れない状況をどう乗り切ろうと考えられていますか
１月末には一部車種の生産と出荷再開されますが、あと何ヶ月かは今の状態が続くと思います。ダイハツの販売店ではあるのですが、他のメーカーの車も何台かか売っていますし、他のメーカーにも良い車が多くあるので、うまくＰＲしながら販売に繋がればと考えています。先日も他メーカーのディーラーさんに協力してもらい、動画を撮影しました。
自分自身はとしては、先代の頃からダイハツを販売していて、幼い時から身近にその見てきたので、少なからず思い入れがあります。また、自分でもダイハツ車に乗ってることで、メーカーの方とも知り合えたり、あと同じ車に乗ってる方と交流できたり車経由でいろいろな繋がりができました。ただの移動手段だけではなく、コミュニティを広げてくれると思っています。
仕事とかで軽トラや軽バスなども必需品だと思います。悪いところは全部出して改善し、信頼できる状態になって、また普通に車が売れる状態に戻ってくれればと願っています。
（取材 2024年1月26日）
ダイハツ工業に留まらず、自動車メーカーの不正はこれまで何度もあった。誰もが国産車は優れているという感覚の中、不信感を募らせる原因をメーカー自らが作っている。この事態を今後どう回復していくのか。
【店舗情報】
カーサービスのイシダ
営業時間 8:00〜18:00
定休日 日曜日・祝日
電 話 0153-75-2807
野付郡別海町別海118-5
