社会復帰の前に、まずは家から出ることが大切。
インタビュー:若澤 めぐみ(わかざわ めぐみ)
合同会社まおぽぽ/特定非営利活動法人 クープア 理事長
ひきこもり支援を新たに始めるとお聞きしました
当事業所では「生活・就労サポート」の一環として、来春からひきこもりの方の支援を開始します。
支援をするためには、まず町内の現状や学校における状況を把握することが大切です。もちろん私たちだけでは支援は難しく、町全体の協力が必要です。特に、成果を上げるためには、教育委員会の協力が不可欠です。
また、近くに住む方々の情報は実に重要なものです。どんなことであれ、その情報が町内会や町で共有できれば良いですし、こうした一つ一つの情報が、個々の人々の特性や、その人を支える一翼を担うものとなります。また、こうした背景からひきこもり支援の重要性が浮き彫りになります。
また、私たち支援を提供する側も、どれだけの範囲で助けられるかを考えることが重要です。人間関係やコミュニケーションに悩むこともあるかもしれませんが、そのような方々に寄り添って支援することで、新たな居場所を見つける手助けとなります。
具体的にはどのような支援の仕方をされるのでしょうか
常に家で過ごしているので、声をかける機会が限られていることを考慮しなければなりません。また、声をかけることができたとしても、外出することのハードルの高さもあります。年齢によって違いがあるかもしれませんが、社会に出ることは第2段階です。まず家から出る、その後は彼らがどれだけ成長できるかです。その後のサポートによって、また新たな展望が待っていることでしょう。プレッシャーや不安が強い日もあるでしょうが、そのような状況でも支援を通じて、少しでもサポートすることが大切です。
そのためには、個々の状況やニーズに合わせた支援が求められます。コミュニケーションやアプローチ方法を工夫し、アセスメントを通じて彼らの声を聞くことも不可欠です。
成人した方の場合、支援を通じて親が子供の元を訪ねることもあります。こうした行動が大きな助けとなることがあります。情報提供やコミュニケーションは容易ではないかもしれませんが、少しのきっかけで支援の輪を広げることが可能です。最終的には、食事や生計の面でも支援ができるようになればと考えています。彼らが自分自身の進むべき方向を見つけられるように、私たちの支援が一助となることを切望しています。
その後の彼らの選択は、どんな時間をどのように過ごすかによって変わってくるでしょう。この事業所で同じようなことを続け、ただここに座っているのか。さらに外に出るのかは、その状況によって異なってくるでしょう。しかし、基本的には、集団で生活することが前提です。それが共通の土台であり、コミュニティ内で集まることの大切さがあります。その中で、どうすれば良いのか、どのようにして人と交流すれば良いのか、そういったことを考えることが重要です。
しかし、根本的な問題解決までたどり着かないこともあります。以前、10代の方が来たことがありました。彼は普段は一人で家にいるそうです。しかし、学校に通えなかった経験から、人とのコミュニケーションが苦手なんです。だから、無意識に相手を傷つけるような言葉を発してしまうことがあります。その一言で、周りとのトラブルを引き起こすこともあるんです。その結果、ここに来ることをやめてしまうこともありました。彼が外界を知らない理由で、自分から自力で外に出てゆくという行動を引き出すことができませんでした。その時、自分が無力だと感じましたし、謝罪したい気持ちでいっぱいでした。彼にサポートを提供できなかったことが、本当に心苦しいです。家族を求めてここに来たのに、私たちは本当の意味でサポートできなかったんです。
この素晴らしい世界をぜひ心から体験していただきたいと願っています。心を開くには、少しずつ時間が必要かもしれませんが、大切なのはまず家を出てここに足を運ぶことです。その積み重ねが、外の世界への興味を育む大切な一歩になることでしょう。
どのような選択をするかは、個人それぞれの道として尊重されるべきです。もし居心地が良い場所であれば、そのままここにとどまることも素晴らしい選択です。逆に、新たな一歩を踏み出して成長を望むのであれば、私たちはその支援を惜しむことなく提供します。
それぞれの人に最適な方法で、自信を持って前進してほしいと思います。出発する際には、笑顔を見せる姿が一番の幸せです。もちろん、悩む姿も大切な段階ですが、笑顔を見ることが真の幸福です。
障害の有無に関わらず、ひきこもりになる事情は様々です。そのため、引きこもりになりがちな人々の事情や立場を理解することが大切です。特に、障害を持つ方々が引きこもる場合、その裏にある理由や問題も多岐にわたることがあります。
同じ方法が全ての人に適しているわけではありません。各々の状況に応じた個別の解決策が必要です。そのため、どのように進んでいくか、どの方法を選ぶかを考えることが重要です。また、私たちが提供できる場所が気軽に利用できる場所であることが重要です。この点だけでも、多くの方々が安心して利用してくださると考えています。
現在おこなっている、障がい者の就労支援と並行するのですね
この場所はもともと就労支援事業所として設立され、お菓子屋さんやお弁当屋さんなども運営しています。お菓子を手渡す行為も、一見簡単なように思えますが、実際には難しい側面もあることを忘れてはいけません。中には「いらっしゃいませ」という一言さえ難しい場面もあるでしょう。彼らが外界との接触を持つことが難しい場合もあるかもしれませんし、外部の出来事を理解することも難しいでしょう。しかし、それらの課題に立ち向かう覚悟が求められます。
このコミュニティは外部の世界との接触が制限されているため、少し異なる存在かもしれません。その中で問題を見つけて解決していくことが重要です。また、彼らの年齢層を考慮すると、現在と将来の展望を結びつけて考えることも大切です。ここには16歳から60代までの幅広い世代の人々が集まっています。人数はまだ限られていますが、年齢に関係なく人々が共に過ごしています。私たちは彼らを放っておかず、手を差し伸べることの重要性を感じています。国全体も弱者支援に向けた取り組みを進めており、その動きに呼応して支援が必要なときです。
支援の開始までにどのような準備をされる予定ですか
情報発信を通じて、町の人々が支援の必要性を理解しやすくなると考えています。
情報提供ができる範囲であれば、それが有益であるかどうかは別として、何らかの形で支援の手助けができる可能性があります。自分自身の居場所を見つけることが、最良の成果となることを願っています。将来に向けて、家族だけでなく地域社会の皆さんや専門家、ボランティアの方々の協力がますます必要になると考えます。その連携によって、より良い未来が創り上げられると考えています。
一人の笑顔が、多くの人々を救う可能性を私は信じています。その人々のために何かできるなら、それこそが何よりも尊いことだと感じます。私たちの仲間たちも、その意義を深く理解しているようです。しかし、このプロジェクトが容易なものではないことも私たちは理解しています。就労支援など、異なるアプローチが求められる場面もあるでしょう。それにもかかわらず、これは彼らの人生において大きな変革をもたらす重要な一歩であり、この場所が真に意味のある場所であると確信しています。
(取材/2023年8月22日)
子供から大人まで、年齢や障害の有無を問わず存在するひきこもりの支援。障がいの有無を問わず多くの人が家から出られずに悩み、またその家族も疲れ、日々を暮らしている。本人が望んでも家から出られない理由は何か。地域全体でフォローし支援していくことが大切だ。
【事業所情報】
合同会社 まおぽぽ
・店舗運営
・生活/就労サポート
TEL 0153-85-7866
標津郡標津町南8条東1丁目1番10号
特定非営利活動法人 クープア
・多機能型事業所(就労継続支援)
・放課後等児童デイサービス
TEL 0153-85-7813
標津郡標津町北6条西1丁目1-23