ウッドショックとアイアンショック、輸入ストップの影響を受ける建築業会。見積もり後の値上げ分をどう対処するのか
インタビュー:近藤 献一(こんどう けんいち)
株式会社 近藤工務店 代表取締役社長
物価高騰による影響
木材は価格が倍近く上がっていて、ほかのものも上がっていないものはないんじゃないかなと思います。ウッドショックがあって、アイアンショックがあって鉄も上がり、クロスなども全て上がりました。油の価格が上がっているから当然上がってしまうんでしょうけども、ただ、木材に関しては秋頃には下がるだろうと言われています。見通しはあるのですが、聞くと今木材屋さんが値段が高い時の在庫を抱えているので、それを捌いてからじゃないと値段は落ちないと思います。個人的には秋ではなく、下がるのはもう少し先だろうと思っていますが、それも確実ではない状況です。
内装材やサイディングや水回り品など、メーカーから通知がきているものは約8~13%値上げの幅があります。まださらに10%は上がるだろうと見ています。今月からサイディングも10%ぐらい上がっているし、樹脂のサッシもまた上がるということで、おそらく約10%は上がるのではないでしょうか。メーカーによっては8月からや、10月から上げると決まっているところもある状況です。
燃費に関しては直接ではなく、間接的に打撃があります。やっぱり油が上がれば全てのものが上がります。ロシア産はもともと入れていなかったので今回の戦争の影響は直接はありません。もちろんコロナの影響は結構大きかったかなと思います。
当社の工法で使用するFPパネルは、意外とメーカーが値上げを踏みとどめていて約6%くらいの値上げで抑えています。もう少しあげないといけないかなという話は出ていますが、まだ決まっていません。
お客様への対応
値上がりする前に契約してしまっているので、金額を上げることができず全て会社で負担しています。
今年も4月に価格を上げましたが、また資材の価格が上がっているので、10月からまた少し上げなくてはいけないかなと思っています。すでに契約している人は契約時の値段で進めています。値上がりを見越した見積もりはなかなか難しいのでできないですし、お客さんに物価が上がるから金額も上げて欲しいとはなかなか言えません。
ウッドショックがあった時に、契約書に価格変動で金額が上がるかもしれないこと、物が入荷しないので工期がずれる可能性がありますということを契約書に入れ、ご理解を得て契約していました。
現在、必要資材については入ってきています。ウッドショックで入荷が遅れた際も、確約をもらってたので、値段は別として資材自体は入ってきていました。工期の遅れはありませんでしたが、納期が遅れたことはありました。
正直、今年度分は結構きつい状況です。とにかく価格が安定してくれればいいと思っています。今の予想で行くと、値段が下がって落ち着くことはないでしょうから、高値安定というがたちになると思います。それでもいいので価格が落ち着いて欲しいと思います。仕入れの価格が上がる度に次々と見積価格を上げるわけにはいかないので、そこが頭が痛いところですね。
坪当たり10万円以上は上がっています。いま大体坪70万円以上の値がついています。以前は70万円以下でしたが、今では場合によっては80万円近くになってしまいます。当社が建てる住宅の平均坪数は32坪〜33坪なので、32坪の場合で320万円違ってくるのでやはり大きいです。
住宅の見学会も以前と同じかたちではできなくなって、現在は全て予約制です。予約制にすることによって、建てる意志のある方のみ来るようになったのは逆によかったなと思いますし、そういう面ではプラスになったと思っています。
あと今Zoomで打ち合わせができるというのもプラス面ですね。今までは移動が必要でしたが、会社としてはその分の経費もかかりません。
(取材/2022年8月23日)