インタビュー:戸田 智之(とだ ともゆき)
有限会社 マルサフーズ 代表取締役
長く標津町近海の海産物加工を行い、昨年「北の海鮮まん」の販売を始めたマルサフーズがこの春、新たな事業として立ち上げた店舗「ホニコイ」。どのような商品を扱っているのか、どのような思いで店舗運営をおこなっているのかを聞いた。
店舗運営を始めようと考えられた経緯をお聞かせください
標津町は「魚の町」として知られており、当社も地元産の魚貝を使用した商品の加工・販売をおこなってきました。しかし価格はどれくらいなのか、どこで購入できるのかといった問合せが多く寄せられていました。このような声を受けて、地元のお客様や他地域から訪れる人々が気軽に立ち寄ることができ、昨年から販売を行なっていた「北の海鮮まん」をはじめとした自社製品を気軽に購入できる場所が必要だと考えました。そこで当社の会長とも協議し、新たな事業として店舗の運営を業に取り組むことを決めました。
店舗では、オリジナルおやき「ホニちゃん焼き」や「北の海鮮まん」、ソフトクリーム、手作りのパンなどが売られている。
店舗の壁に飾られている、マルサフーズが提供する商品に対するこだわりを形にした 「こだわりの心」。
どのような商品を提供されていますか
コンセプトは、地元の方々に来ていただいて、味わっていただき、特産品を購入していただくことです。現在は地元の食材を活用したオリジナルの加工品の提供を考えています。これからも新しいアイデアを出し合い、商品展開や開発をおこなうことも大切だと考えています。もちろん、失敗する商品が出てくる可能性もあるでしょうが、それでも挑戦する価値は十分にあると思います。失敗は経験の一環だと考えています。
現在は、地元の素材を活かした商品の販売に注力しています。例えば、しべつ牛乳を100%使用したソフトクリームや標津町特産のホタテをモチーフにしたオリジナルのおやき「ホニちゃん焼き」など、地元ならではの味わいを楽しむことができる商品を提供しています。さらに、自社で標津産のホタテや活〆鮭、いくらなどを使用し加工・販売している「北の海鮮まん」も店舗販売をおこない、地元の食文化を幅広い角度から支えることを目標に展開しています。
店舗内にある工房で毎日焼き上げる、食パンやクロワッサン、バターロールなどパンの提供もおこなっています。
自社商品だけでなく、他社の加工品や、「波心会」という地元の漁師団体が手がける商品や、新鮮な魚介類も取り扱っています。標津の魅力を広めるお手伝いをして、アンテナショップのような役割も担っていきたいと考えています。これらの取り組みを通じて、地域全体の活性化に寄与できると信じています。
また、地元ならではの食を提供するだけでなく、それぞれの商品背後にあるストーリーや情熱を伝えることも大切だと考えています。そうすることで、食品だけでなく、その地域の人々や文化に触れる一環として、お客様に楽しい体験を提供できると思います。
今後の展望をお聞かせください
さらに、海の公園のキャンプ場に自動販売機を設置して、キャンプに来ている方達に楽しんでいただける商品の提供にも取り組んでいます。干物やボイルしたホタテ、おやきなど、キャンプの楽しみと組み合わせて楽しむことができる商品を提供することで、地元の特産品や食文化を広く知ってもらいたいと考えています。
人々の動きが徐々に回復しており、店舗を訪れる方々も増えてきています。基本的なターゲットは地元のお客様ですが、同時に観光客の方々も気軽に立ち寄っていただければと考えています。
実際、漁師の方が仕事帰りに立ち寄ったり、お昼に訪れたりする姿が見られ、企業の方がおやきを購入していくこともあり、お土産として好評を得ています。時には店内が活気に満ち、賑やかな雰囲気となる瞬間もあります。地元のお客様にも観光客にも、満足していただける場所としての役割を果たすことを目指しています。
店舗の設置や商品の展開には、慎重な計画と調整が欠かせません。特に、季節や需要の変化に合わせて展開することが求められます。この点においても、関係者との緊密な連携を保ちつつ、地域の成長に向けて事業を進めていきたいと考えています。
(取材/2023年8月24日)
【店舗情報】
海鮮スイーツファクトリー ホニコイ(有限会社 マルサフーズ)
TEL 0153-82-2116
営業時間 10時〜18時
定休日 不定休
標津郡標津町南8条東1丁目1番10号