若者の夢、たこ焼きで叶える。新たな挑戦と未来への味わい。

若者の夢、たこ焼きで叶える。新たな挑戦と未来への味わい。

インタビュー:佐藤 辰(さとう たつ)
タコタツ代表


昨年、土木建設業を退職し、新たな道を切り拓く決意をした若者、佐藤辰氏。若干22歳で未知の飲食業界へのスタートを切った。新たな可能性を信じて勇敢に前進する若者の挑戦について聞いた。


なぜたこ焼き屋をオープンしようと思ったのですか

昨年の12月、私は前職の土木建設業を退社しました。当初は他の会社で働くことを考えていましたが、ハローワークで見つけた求人は給料が低い条件ばかりでした。そこで、自分で起業することを考えるようになりました。

起業のアイデアを練っていた時、便利屋や飲食店の可能性を模索していました。しかしながら、ある日突然、タコ焼きのアイデアが私の頭に浮かびました。この地域ではまだタコ焼きの専門店がなく、札幌にある「タコハイ」のような居酒屋で、たこ焼きとお酒を楽しむ場所を提供することができるのではないかと考えたのです。

物件探しを進めている最中、居抜きで利用できる物件が現れました。しかしながら、入居を実現することが困難となりました。初めて現在営業中の場所を目にした瞬間、すごく汚れて古びていて、あまり魅力的ではありませんでした。それでも、何となく話が進展し、結局はこの場所で新たな一歩を踏み出すことに決めました。最初の段階では不安もありましたが、その後の経験を通じて、この場所こそが私の新たなスタート地点であるという確信が芽生えました。

壁の塗装や床の張り替えなど、自らの手で改装した店内。

現在考えうる課題や改善点はありますか

飲食業界というのは、私にとって未知の世界で、何をどうしたらいいのか、正直に言って分かりませんでした。これまでは指示通りに行動し、言われたことを実行することで生きてきました。ただ、今回は違います。自分が中心となり、自分の考え通りに動いていくことが求められます。値段設定やダシの使い方など、分からないことだらけでした。

自宅でのたこ焼き作りの経験はほとんどありませんでしたし、たった2回程度しか焼いたことがありませんでした。しかし、店を始めるためにはレシピの習得が必要でした。最初はたこ焼きの基本的な作り方さえもわからない状態で、オープンに向けての準備として、様々なレシピを試してみることにしました。ネット上の情報やYouTubeの動画を駆使して、たこ焼きの作り方を学びました。様々なレシピやテクニックを学びながら、自分なりのアイデアを加えてオリジナルのレシピを作り上げました。水分量や調味料のバランスについても徹底的に調べ、有名なたこ焼き店の情報も集めて自分なりのレシピを完成させました。

毎晩、たこ焼きの試作を行い、その度に試食を行っていました。その結果、1ヶ月ほどで体重が驚くほど増加してしまいました。オープンに向けては、味の調整のために何度も試作を行いました。濃厚なダシを使用したものから普通の味まで、さまざまなバリエーションのたこ焼きを試してみました。

また、店内の雰囲気も重要だと考え、改装も行いました。古い印象が抜け切らない店内を改善するため、自ら壁の塗装や床の張り替えなどを行いました。昼は改装作業、夜はたこ焼きの試作や準備に追われ、睡眠時間を確保する余裕はありませんでした。開業に向けた努力と準備の日々が、私の経験と成長を形作る大きな一歩となりました。

定番から創作まで、豊富な種類のタコ焼きを提供している。

同世代の若ものにメッセージを

かつて私はクソガキと呼ばれ、評価が低かった過去がありました。けれども、自分の夢に向かって執着し、努力を惜しまない姿勢が、最終的には評価されることを痛感しました。どれほど愚かだと笑われても、自分にできることを信じ、未知の道に進む覚悟を持ち続けています。若い世代は他人の評価にとらわれがちですが、私たちには限りない可能性が広がっていると信じています。勇気をもって前に進み、自分自身の道を切り開く重要性を理解してほしい。社会の潮流に流されず、自分らしい行動をすることが肝要です。若いうちに数々の挑戦を通じて経験を積むことは、成長への秘訣だと確信しています。

そして、お店を始めてから気づいたことがあります。以前、サラリーマンとして働いていた頃、給与が確定している安定感に支えられていました。しかしその後、独立するとその安心感は消え、自分で稼がなければならない現実に直面しました。給料が少ないとか、拘束時間が長いとか、不満を口にしていた自分に気づきましたが、給与が当たり前に入ってくると思っていたことが、実際には非常に困難な課題であることを痛感しました。しかしこの試練を通じて得た教訓は大きかったです。自分の店を運営し続けるためには、日々の努力が不可欠であることを理解しました。この厳しい経験を通じて、収入を得ることの重要性を再認識しました。困難を乗り越えながらも、自分自身の手で築き上げた成果の喜びは格別です。

現代の若者には、数々の難しさや厳しさが存在します。その中には低い収入で楽しい時間を過ごす余裕がないという現実もあります。だからこそ、私の店は若者のための場所となり、手頃な価格で楽しいひとときを提供したいと願っています。利益を求めるだけでなく、若者たちが心から楽しめる場を提供したいと考えています。生計が立てば十分だという考えと、若者たちの支持が将来的に報われるという信念を持っています。彼らが気軽に集まり、コミュニケーションを楽しむ場を作りたいと思っています。

(取材/2023年8月23日)


まわりの評価を気にせず、自分の信念に従い、自分自身の道を切り開く覚悟を持ち続けた。知識や経験がなくても、情熱と努力で新たな分野で成功できる。失敗を恐れず、試行錯誤を繰り返す姿勢が努力と準備は成功の鍵である。この挑戦が若者たちに希望と勇気を与え、新たな可能性を信じる力を与えてくれる。彼のように、自分の夢に向かって努力し、未知の道を切り開く若者がこれからも増えることを期待したい。


【店舗情報】

タコタツ
TEL 080-6076-0517
営業時間 17時〜2時
標津郡中標津町西2条北1丁目9