インタビュー: 江西 浩太郎(えにし こうたろう)
有限会社 食彩倶楽部 代表取締役社長
中標津経済センターなかまっぷ内で、居酒屋を営業していた多国籍料理 呑食里が移転することとなった。移転先は、町内東1条北1丁目の(旧ベロチュー)店舗。コロナ禍で移り変わる飲食業、慣れ親しんだ店舗を離れ、これからどのような活動をしていくのか。
移転を決意したわけ
この場所は、立地が良くないと言われてましたが、18年間やってきて、場所も環境もすごく気に入っています。今はさみしい気持ちでいっぱいです。コロナ禍で、飲食業界は大きく変わりました。今回の移転も、確信はなく不安や心配はあります。
コロナ前は、店を大きくしたい、スタッフの数を増やしたい、経営者として事業を拡大することを考えていました。2年前、中標津町で2店舗目の牛タンとチューハイ専門店ベロチューをオープン。「整うカリー」「ナポリ舌」「知床ザンギ」などの商品開発にも取り組みました。
これから先、どうなっていくのかと迷いや不安を抱えながらも、何事もやってみなければわからない。失敗も経験しながら今後の道が少しずつ見えてきました。
▲中標津経済センターなかまっぷ内で20年間営業し、慣れ親しんだ店舗。
この3年間は、料理をすること以外に多くの時間を費やしました。これからは原点に立ち返り、料理としっかり向き合う時間をつくりたい。お客様とコミュニケーションを取りながら、楽しい時間を共有したいと考え、移転を決めました。
現状の店舗では、広さもありすべてのお客様に目が届きません。移転後の店舗は、オープンキッチンで、お客様の顔を見ながら料理をつくることができます。お店は小さくなりますが、自分自身もコミュニケーションを取りながら、料理や雰囲気を楽しんでもらえると思います。
コロナ禍で外食頻度は減少し、少人数や個食の割合が増えています。大人数での宴会もなくなりはしませんが、多くは見込めません。外食は頻度が減ることで、普段では得られない非日常やレジャー性を演出できる店が選ばれると考えています。
これからの時代に選ばれるお店を、もう一度土台から見直すためにもリスタートを決意しました。
移転後はどのようなお店に
地元の食材や旬な食材にこだわり提供をするスタイルは変わりません。海鮮と寿司がメインのお店を考えています。メニュー数は少なくなりますが、日替わりのおすすめメニューを充実させていきたいです。食を楽しめる、特別なものが食べられる、地元の旬を味わえる、地方のお客様を連れてきても喜んでいただけるお店を目指します。
飲み屋街が近くなるので、スナックに寿司などの配達もできます。お互いがプラスになるようなサポートができればうれしいです。
営業時間もニーズがあれば、遅い時間まで営業しようと考えています。新たな夜食文化をつくる、ベロチューをはじめた時に考えていたことなので、ニーズを見極めながら取り組んでいきたいです。
常連のお客様に来ていただけるとうれしいですが、客層は変わると思います。ベロチューに来ていただいた若年層も取り込んでいきたい、そういった意味では、価格を抑えたメニューなど、幅を持たせながら営業をスタートします。
どういう新陳代謝が起こるか不安もありますが、今は楽しみのほうが大きいです。
商品開発したメニューの今後
札幌市の琴似に知床ザンギの専門店がオープン。今年3月までは、ニセコのキッチンカーでも販売しています。それぞれ別の事業者が運営していて、卸売りで食材を提供しています。
サイドメニューが欲しいと要望があったので、「ハサム」というご飯を使ったサンドイッチのようなメニューもつくりました。ニセコではインバウンドに好評で、今後展開する場所を模索しています。
現在、知床ザンギは業務用の卸売りのみですが、これから一般販売できるようにしていきます。
地域に対する思い、これからの活動について
自分を育ててくれた町の素晴らしさを次の世代へ繋いでいく、料理人としてその一端を担っていきたいと思います。
コロナ禍で外食から遠ざかってしまった人たちを、いかにして取り戻すか、飲食店は今まで以上に、お客様に喜んでいただける取り組みが必要です。
コロナ禍で試行錯誤を繰り返しましたが、悩みや不安は消えない。でも前に進んで、答えを見つけるしかありません。新しい場所でのリスタートは、チャレンジをすることで、自分を奮い立たせたいという思いもあります。移転することで、町に新しい流れができて、飲み屋街に灯を一つでも増やせたらうれしいです。
(取材/2022年12月28日)
移転という選択肢に舵を切った。その先に明るい未来があることを信じ、経営者、料理人としての新たな挑戦が始まる
【店舗情報】
多国籍料理 呑食里
営業時間 18時〜24時
定休日 日曜日
電 話 0153-79-0515
標津郡中標津町東1条北1丁目2F