ミルクCafé ─ 中標津町 議会の新たな取り組み
インタビュー:髙橋 善貞(たかはし よしさだ)中標津町議会議員/議会運営委員会 委員長
江口 智子(えぐち ともこ) 中標津町議会議員/議会改革特別委員会委員長
今回のこのミルクカフェという形での報告会はどのような経緯で開催されたものなのでしょうか
江口 コロナ禍で昨年は議会報告会はが中止になりましたが、一昨年は開催することができました。その際に20数名の方に来ていただいたのですが、アンケートの中で「説明されている話が難しすぎてわからない」「住民に開かれた議会を目指すのであれば、住民と同じ目線に立って意見をいただくような手法が必要ではないか」という声をいただきました。そこで、ワールドカフェ方式という、カフェでくつろいでリラックスしているようなスタイルで、テーブルごとに各グループに分かれて意見を出し合うようなスタイルでの報告会を導入することになりました。
本当であれば昨年に初回実施を予定していましたが、3回ほど延期となり、開催の機会を伺っていましたが、結局開催することができず、今回開催に至りました。
ワールドカフェは、ひとテーブル4〜5名ぐらいのグループに分かれて、その中でひとつのテーマについて意見を出し合いながら人の意見も聞いていくというもので、それを通じて何かひとつの結論に結びつけるのではなく、友好関係を築きつつ、自分の意見を自由に出し合い、立場の違う人の意見を聞くという一種のグループワークになります。
参加された方々はどのように受け取ったようですか
江口 来ていただいた方にきいたところ、とても楽しかったし、わかりやすかったとおっしゃっていただきました。ミルクカフェの後、議会改革の説明もしたのですが、議会のその内容がよく分かったという感想もいただきました。
髙橋 グループワークはよくあると思うのですが、テーブルを移りながらそれぞれの方と対話するやり方は私も初めてでした。これまでいろいろおこなってきましたが、今まであった中でもいい報告会になったと思っています。
ただ、年配の方の中にはこのような形式に慣れていない方もいますし、グループワークという形式が苦手な方もいらっしゃって、これまで通りのやり方で意見交換したいという方もいるので、一概にこの方式がいいとも言い切れません。ただ、参加してくれた方の大半は特に違和感は感じていなかったようです。
今後、さらに回数を重ねていけばもっと積極的に意見交換ができるようになると思います。ただ、今回は時間もあまりなかったのもあって、皆さんの意見を聞いて、そういう考え方もあるなということを聞けた程度で終わってしまったのは、これからの課題だと考えています。
江口 今おっしゃったように、今回ミルクカフェをおこなった中で、楽しかったという意見の一方で、時間が短すぎて、やはりもうちょっとじっくり語りたかったという意見も結構ありました。今の議会報告会という枠で開催するのがいいのかどうか、「報告会」なのか「意見交換会」なのかを考える必要があるでしょうし、委員会として懇談会を開催するのがいいのか、報告会ではなく、ミルクカフェそのものを独立させて開催するのがいいのか。これはこれからの課題で、具体的な方針に繋げるためには改めて議論が必要だと思います。
また、グループ内で共通のテーマについて議論し、それぞれのグループの成果を共有する形式にしたいと考えています。だだ充実した場にするためには、時間的な制約があるため調整が必要ですし、議員も初めての試みであり、リハーサルもおこなっていましたが、趣旨を理解し、議員側もスキルを身につけていくなど、ワールドカフェ形式の議論を行うための準備が必要だと思います。
今後、どのような場にしていきたいと考えられていますか
江口 実現しませんでしたが昨年開催時には、根室市議会の議長、副議長が興味を持ってくださっていますし、近隣の議員からもどのようなものなのかと興味を持ってくださっています。今のところ釧根管内では初の試みだと思います。
基本的に30〜50代の方の参加が多いのですが、30代以下の方の参加者も多くいらっしゃいました。このような多様な年齢層の参加者がいる中で、議論や活動が進行していくことは、異なる視点やアイデアの提供に役立つかもしれません。
ただ、議会ってどんなことをしているのかをなんとなく知ってはいても、足が向かないということが実態としては圧倒的に多いと思います。そこをこの議員と同じ目線で語れる機会なんだということがもう少し周知されていけば、若い人や、普段議会に興味がないような方も参加につながっていくのかなと思います。
昨年浦幌町に視察に行ったのですが、議員のなり手不足で議会改革を推進する取り組みの一環として、ワールドカフェをスーパーの店先を借りておこなったことで、若い議員が誕生し、今回も女性が3人生まれています。
このように町民からの思いを聞いたり、意見交換の場でありながら、その一方で議員のなり手不足の解消のきっかけになるように議会側から開いていくことで、興味がある人が来やすくなる。中標津町でもそういうきっかけになればいいかなと思います。
髙橋 議会のことは議場で質問したり、委員会を開くくらいの認識の方が多いのかなという印象を持っています。実はそうではなく、積極的に外へ出て活動していることも知っていただきたいですし、実際の仕事がどういったものなのか、町民からの要望や問題事の解決に当たるだけではないこと若い人にも知っていただく機会になると考えています。
(取材/2023年8月23日)
第13回 中標津町議会報告会 ミルクCafé
開催日時 令和5年7月30日(日)
開催場所
中標津会場 中標津町総合文化会館 しるべっと
計根別会場 中標津町交流センター
内容 第1部ミルクCafé/第2部 議会改革について
※写真提供/中標津町議会事務局