インタビュー:小木 靖文(おぎ やすふみ)
Ka.L Hair Salon 代表取締役
中標津町開陽に新たな美容室が誕生した。豊富な経験と培った技術を融合させ、施術前の大切な瞬間においてお客様とのコミュニケーションを重視するサロン。経営者に話を聞いた。
地元に戻り、美容室を開業する決断のきっかけは何でしたか
中標津町の開陽で生まれ高校まで中標津で過ごしました。その後、札幌の美容専門学校へ進学し、東京都にあるサロンに就職しました。就職先は国立市にある美容室で、その場所は23区外でありながらも、多摩地区の中でも高級住宅街であり、一橋大学があったり芸能人が住んでいたりと、富裕層が多い環境でした。サロンでの仕事は、高いレベルの対応や会話が求められました。
その後、結婚を機に独立し夫婦で美容室を経営していましたが、将来の居住地について、東京を離れたくない気持ちと田舎に戻ってゆっくり暮らしたいという二重の思いが交錯していました。東京での独立経験は24年に及び、50歳を過ぎてからの移転は遅いかもしれませんが、新たなけじめをつけるタイミングだと信じ、実家である開陽の小木商店を改装しサロンを始めました。
おそらく、専門的な技術の話をしてもお客様は理解できないでしょう。東京で経験を積んできたことで技術をほめられることがありますが、東京にいたことではなく最初に働いた美容室による影響が大きいと感じています。
東京ではどのように技術を磨きましたか
特定の有名店で働いたわけではありません。有名店のスタッフによる講習会に参加したことがありますが、そこで技術を自分のものにするつもりはありませんでした。自身の技術に取り入れたいと感じるものもありますが、それよりも最初に働いた美容室の先輩たちから学んだことが大きな影響を与えています。
社長をはじめ、先輩たちの技術、接客、プロ意識は非常に高く、彼らから多くのことを学びました。彼らを尊敬することが、私の成長につながり、自分自身が美容師を続けるための手本となりました。最初に働いた美容室が自分にとって宝です。キャリアやアプローチに大きな影響を与えています。技術的なことを伝えるのは難しいですが、お客様との信頼関係や、個性的なアプローチにこだわり、それが自分の強みとなっています。
新しく開業した美容室のコンセプトや特徴について教えていただけますか
施術前のカウンセリングは重要ですが、まずはある程度のアプローチを見せてもらわないと、具体的なアドバイスは難しいです。私の提案が合うかどうかを確かめるために、まずはカウンセリングだけでも気軽に来て欲しい。自分がやらないスタイルに関しては、お客様に他の美容室を試すことをおすすめしています。自分のスタイルやアドバイスが合わない可能性もありますし、他の美容室で新しいアイデアや技術を見つけることが、お客様にとって良い選択となることもあります。何か新しいアプローチや提案があれば、それに合わせて変更することもできます。
カウンセリングは、お客様にとって大切なプロセスです。自分が得意な分野やアプローチを理解してもらい、信頼関係を築くために時間をかけることを心がけています。技術に関しては、一人ひとり異なるのが美容師の面白さであり、得意な分野があることを認識しています。
例えば、ショートのスタイルにおいては、似合う似合わないというのは個人差が大きく、その方の骨格や特徴に合わせてデザインすることが必要です。
サイドのラインや顎のラインに関して、短くすることで顔立ちが引き立つ可能性もありますが、その変更が全体にどう影響するかを考慮しなければなりません。長さも重要で、バランスを保ちつつお好みに合わせることが目指しているところです。
カウンセリングにおいては、髪型だけでなく、日常のスタイリングやケアの方法についてもお伺いしています。お客様が納得いくまで、時間をかけてお話しし、提案していくことが私のスタイルです。
新しい場を提供するアプローチについてお聞かせください
地域における新しいアプローチとして、面貸サロンとしても提案しています。実際に私自身が東京で後輩のサロンでこのスタイルを経験し、この働き方の可能性を地元の美容業界にも広めたいと考えています。
地元に戻ってきた若い方が美容の道を進みたいと思った場合、勤める場所が見つからないという課題があります。サロンを構えることは大きなリスクが伴いますが、借りられる場所があれば、その期間中にお客様を確保することができるかもしれません。働き方が大きく変化しており、新しいアプローチが求められています。
美容師は寿命が短いとされる職業であり、特に女性は結婚や出産といったライフイベントが訪れることが予測されます。サロンに復帰するとなれば、制約や拘束時間が長くなるため、子育てが落ち着くまでは復帰が難しいとされるのも事実です。一人一人の都合に合わせた柔軟な働き方を提案し、お互いが理解し合い、協力し合えるサロンの在り方が求められています。
ネイルやまつ毛、ヘッドスパなど、美容師だけではなく、このスペースで挑戦できることであれば、ぜひ活用し新しい働き方を見つけて欲しいです。
(取材/2024年1月11日)
施術前のカウンセリング、お客様とのコミュニケーションを大切に。再現性に重点を置いたスタイルの提案や柔軟な働き方も提案してくれる。
【店舗情報】
Ka.L Hair Salon
営業時間 10:00〜17:00
定休日 火・水曜日
電 話 090-2748-4324
標津郡標津町字開陽24-85