勇往邁進!新たな時代を前を向いて進み続ける
飲食店経営とアーティストの二刀流で地域を盛り上げる
インタビュー:江西 浩太郎(えにし こうたろう)
有限会社 食彩倶楽部 代表取締役社長
Buffalo Soldier KOUTA-LOW
新型コロナウイルスとどのように向き合っていますか
新型コロナウイルスとどう向き合うかというよりは、共存していくしかありません。呑食里、ベロチューどちらも北海道の第三者認証を受けましたが、まん延防止等重点措置が適用されると、第三者認証店においても営業時間は短縮されますし支援金も変わりません。国の対策もあてにできないので、店舗営業に頼るのではなく、新たな事業へのシフトチェンジが必要になります。
顧客の来店を待っているだけでは、収益は厳しくなることが予想されます。昨年からキッチンカーを稼働させ、知床ザンギの販売をはじめました。自分たちから売りに行くというスタンスに変えていく必要があると考えています。商品を開発してECサイトでの販売、商社や卸売業者への売り込み、ふるさと納税などを活用し新たな販路を見出していきたいと思います。
業態転換をしたベロチューのコンセプトとは
新型コロナウイルスの影響で、さまざまなものの価格が高騰しています。牛タン専門店としてオープンしたベロチューは、牛タンの仕入れ値が3倍になり専門店としての営業は立ち行きません。コロナ禍でのオープンからなんとか1年持ち堪えられたのを機に、牛タンだけではなく、とにかく肉を楽しんでもらえる肉バルに方向転換に踏み切りました。
若い子たちから、中標津には飲み放題が安い設定のお店がないという声を、よく聞いていたので、安価に飲み放題を楽しめるという新たなコンセプトも追加しました。外に出てお酒を飲むという習慣をつけ、楽しさを伝えることは未来への投資だと思っています。
今まで通りのサービスをやり続けても、コロナ禍前の水準に戻すことはできません。魅力ある商品づくり、店づくり、サービスを130%くらいできて、ようやく100%に戻せるぐらいに考えています。
商品開発にはどのように取り組んでいますか
商工会地域特産品 展示・商談会に参加
外食市場規模が減少する中、国内のEC市場は市場規模を拡大しています。未来を見据えたときに店舗で商品を提供するのではなく、主力となるメニューを商品化し、EC市場で商品を販売することが会社の存続につながると考えています。お客様がわざわざ店に来なくても買える手段を作り出さなければなりません。現在3つの商品化を進めていて、牛タンを入れたナポリタンのパスタソースのレトルト、知床スープカレーのレトルト、知床ザンギの冷凍商品を今年の夏までに販売できるようにしたいです。
ホームページの制作も進行していて、ホームページにECサイトへのリンクを付け商品を販売。SNSを活用し、全国に発信していきます。バッファローソルジャーとして音楽活動をやっているので、全国に仲間がいます。SNSのフォロワー数の多い仲間がたくさんいるので、力を借りながらPR。試験的にSNSの広告も活用し、どのようにリーチしていくかというデータを取りながら販促計画を立てています。
飲食店経営者から見る地域の課題とは
中標津には20代、30代の飲食店経営者がまったくいないというのが現状で、20年、30年後には町の食文化がなくなってしまうかもしれません。地域一体となり考えていかなければならない問題です。子どもの頃に食べていたメニューを、親になったとき子どもに食べさせるというような文化を、意識的に作っていかなければなりません。しっかりと受け継がれて続いていく町の味、町の文化として受け継がれていくようなメニューづくりと、どのようにバトンを渡していくのかを考えていかなければなりません。20代、30代が新規で参入しやすい業種が飲食業です。参入してこないのには原因、理由があるはずなので、そこに危機感を持ち、みんなで考えて飲食業を魅力あるものにする取り組みが必要です。
知床スープカレー、知床ザンギと自社でも町の文化となるメニュー作りに取り組んでいます。先々まで受け継がれ愛されるメニューとなるかはわかりませんが、やらないと何も始まりません。やり続けることでファンは増えてくると思いますし、努力を怠らず前に進めることで見えてくるものがあると思います。常にチャレンジする会社でありたいので、未来の食文化を支える意味でも、どんどんあたらしいものを作り出していきたいと思います。
知床ザンギを販売しているキッチンカー
コロナ禍でのバッファローソルジャーとしての活動は
昨年はライブもできませんでしたし、お店の営業もできないという期間があったので時間をつくれました。今まで時間がなかった分、後回しにしていた新曲の制作、収録、ミュージックビデオを撮影。ミュージックビデオは4作品撮影し、2作品公開しました。すべて公開後、アルバム制作をする予定です。
昨年は活動としてかたちに残り、拡散できる作品づくりをしようと決めていました。暗い話題ばかりなので自分たちの町のローカルフッドスターして、誰かは必ず見ている応援してくれているというものを感じながら、期待に作品として応えられるようにしていきたいです。
新曲 COME AGAIN(コマゲン)に込められた想いとは
若い頃ヤンチャしたり仕事よりも遊びを充実させていた人たちも、大人になると立場が変わり世の中を見る目線が変わってきます。田舎で暮らしていることに劣等感を持たず、信念を貫いて結果を出した先輩たちの姿を見てきたので、次の世代にその気持ちを受け継いでほしいという思いがありました。いちばん身近で見てきた自分たちが、先輩たちの結果を証明し、がんばってきて良かったと思ってもらえるような曲を仕上げました。
ミュージックビデオを公開したRAKUNOUはどんな曲
酪農は日本の食料自給率の根底を支えていて、酪農があることで地元産業が成り立っていると思います。「酪農家はかっこいい、プライドを持って仕事をしているんだ」と側で見ている自分たちが声を上げようと思いました。地元の誇り高き酪農家さんたちの思いを、歌詞にして歌うことは自分たちにしかできません。酪農家さんも喜んでくれましたし、奥さんやお子さんもすごく喜んでくれました。
漁師さんの曲もミュージックビデオ公開予定です。地元の第一次産業を応援することは、自分たちの使命だと思っています。応援することによって応援してもらえる、お互い支え合って盛り上げていきたいです。
RAKUNOU / BUFFALO SOLDIER
【Official Music Video】
【配信】BUFFALO SOLDIER CHANNEL(YouTube)
これからどのような活動を考えていますか
すごくいい町ですが、町の良さが外に発信できていないと思います。町の未来のビジョンは見えない部分が多いです。子どもたちが町に誇りを持ち、大人になったときにここで子育てをしたいと思える町にみんなでしていかなければなりません。若い世代がもっと声を上げるべきだと思います。声が上げづらいのであれば、上げやすい環境をつくるのが自分たちの役割だと思います。「昔はどうだった」という話よりも、「これからはこうだ」という考え方が必要。自分たちがなんで変わらないのだろうと思う問題点を次の世代に残したくないです。500人、1000人とファンが増えれば、自分1人の声ではなく、町も見過ごせないみんなの声として発信できる。みんなの意見を言えるアーティストであり、町の良さを発信できる料理人でもありたいと思っています。
先生や親に言われたらナニクソと思うことも、歌だったらすんなり受け止められたりします。歌で誰かの背中を押せるような活動がしたいです。歌で誰かを応援し、この歌を聴いたおかげでがんばれたと言ってもらえるような、町のローカルフッドスターを目指しています。
(取材/2022年1月20日)