地元企業と大手企業の業務提携で販路拡大へ

地元企業と大手企業の業務提携で販路拡大へ

インタビュー:斉藤 正人(さいとう まさと)
酪農協販商事株式会社 代表取締役社長


 中標津町でLPガス販売・ガソリンスタンド業をおこなっている酪農協販商事が、北ガスジェネックスのグループ会社として営業していくことになった。
 合わせて北ガスジェネックスは中標津町内(北中9番地)に、道東初となる営業所を設けた。
 北ガスジェネックスとはどのような会社なのか?これからの取り組みを聞いた。


北ガスジェネックスとはどのような会社でしょうか?

 主に都市ガスを供給している北海道ガスの子会社が北ガスジェネックスという会社で、主にLPガスと灯油を扱っている会社です。1967年創業なので、50年ほどの歴史があります。

 都市ガスは土の中にガス管が埋まり込んでいて、道路にガス管が埋まっていないところは都市ガスを送れません。

 北ガスジェネックスは、都市ガス管が届いていないところに、ガスエネルギーを供給するという使命を担ってLPガスを配送しています。本社は札幌市にあり、地方にある営業所でもガスを供給しています。

 北ガスジェネックスが酪農協販商事の親会社、さらに北ガスジェネックスの親会社が北海道ガスになります。

 2021年4月からこのような形になり、2022年4月から私が北ガスジェネックスから社長というかたちで中標津に来て今に至ります。中標津空港近くにある社屋には、酪農協販商事という会社と北ガスジェネックス中標津営業所の2つの会社が入っています。

酪農協販商事のグループ化に至った経緯とは?

 もともと北ガスを頂点とした北ガスグループでは道内に数カ所営業所を設けていましたが、道東エリアに拠点がありませんでした。道東の都市ガスでいえば釧路には釧路ガス、帯広も帯広ガスという会社があります。道東エリアに北ガスグループで、ガスをご提案させていただけるような拠点を作りたいと、いろいろ探していました。

 中標津という土地はご存じの通り、釧路からも約2時間、帯広も約3時間で行けて、空港もあるので道東の拠点として最適でした。中標津町は、他の道内市町村と比べ人口の減少率が少ないこともあり、検討した結果、中標津に進出することになりました。

 もともと酪農協販商事と御縁があり 2020年頃から協議を重ねていく中で、お互いの利害が一致し、念願の道東エリアでの拠点を設けることができました。

既存のお客様の反応はいががでしょうか

 基本的に、酪農協販商事は、今までのやり方を変えることなく継続していきます。

 酪農協販商事で供給していたお客さんを引き継いでいて、今までの酪農協販のやり方をそのまま継ぎます。

 お客様への対応も全て今まで通りで、北ガスジェネックスが入ってきたからといってやり方を変えることは、今のところありません。

 既存のお客様が心配なさっていたのは、今までとやり方が変わるのではないかというところでした。取り引き内容が変わるのではないのか、ガス料金が上がるのではないかとか、そういった声が聞こえました。基本的には変わりません。今までの酪農協販商事と同じですとお伝えしました。

 酪農協販商事という会社がなくなるのではなく、酪農協販商事という会社も続きますし働いている人も同じです。お客様対応については変わりませんが、例えば財務関係などを見直して、新しく働いて頂ける方が増えてくれるような、労働環境の整備に取り組んで行きたいと考えています。

 今までガソリンスタンドというのは全く関わったことがなくて、今回が初めてです。ガスは詳しいんですが、ガソリンスタンドは私自身関わったことがないので、そこは毎日勉強です。

 スタッフをすべて引き継いでいますので、私の使命は今までいた酪農協販商事の従業員が不安なく働けるということを継続するというのがミッションだと思っています。ただ慢性的に人手不足の状態です。求人は継続して掛けていますが、なかなか人が集まらない状況です。

販路・顧客拡大、どのように取り組むか

 新築住宅でオール電化を選ばれる方はまだ多いですが、選択肢としてガスを入れてもらえるよう、地元の工務店さんには粘り強くガスの良さを知ってもらえるよう取り組んで行きます。

 ランニングコストも灯油と比べ、ガス料金が高いのではないかと思われますが、それほど変わりません。ガス暖房用の料金は普通のお客様よりも安く設定しています。

 北ガスジェネックスが盛んに進めているのが、「コレモ」というガスの家庭用の自家発電機です。ガスエンジンを回すことによって電気が起きて発電することができます。ガスを使用して自分の家で電気を起こして、電力会社に売るということもできますし、通常電気を使うこともできます。ブラックアウトのような有事の際に家庭の電気を賄うこともできます。

 高効率給湯暖房機「エコジョーズ」と家庭用ガス発電機「コレモ」を組み合わせたシステムを中心に、発電で出た熱を暖房に使って省エネにつなげたり、停電時にも発電できる利点を活かし、お客様にご提案できればと考えています。

これからの活動について

 我々の役割は、一般のお客様にガスを売ることはもちろんですが、ガスの文化を根付かせるために札幌で培ったノウハウがありますので、それを中標津で広めていくことにあります。

 先日、東武サウスヒルズ中標津店様でイベントを開催。北ガスという名前を知ってもらうためにのぼりなどを用意して土日でPRを行いました。中標津で生まれ育った方は、北ガスと接することが今までなかったわけですから、北ガスという名前をもう少し身近に感じてもらえるように、努力いたします。

 中標津は暖房、給湯、厨房にしても、やはり電気の町です。オール電化、次に灯油、ガスという感覚はあまりないと思います。道東の中標津エリアで北ガスという名前を少しでも身近に感じていただきながら、ガスも給湯暖房の一つの手段としてあるんですよということを広めていきたいと思っています。

 ガスは怖いというイメージがあるかも知れませんが、今の時代いろいろな安全設備が整っていますので、きちんと利用していただければガスの問題はありません。危なくはないですし、コストも灯油と変わらないということを伝えていきたいです。ガスの安全性、利便性を浸透させることが私たちの使命だと考えています。

(取材/2022年12月22日)


 社会インフラを担うエネルギー業界。時代とともに移り変わる、環境の変化に対応したエネルギーを。大手企業の参入で、地域のエネルギー事情に変化は起こるのか? 今後の活動に注目したい。




【企業情報】

酪農協販商事 株式会社
TEL 0153-72-3442
標津郡中標津町北中9-46