町直営から約1年、長年町民に
利用されてきた施設の利用状況や今後の課題
インタビュー:田畑 直樹(たばた なおき)
別海町役場 産業振興部 商工観光課 課長
町直営でオープンしてから約1年が経ちました
昨年4月〜6月はこちら側の都合で休館し、当初の予定よりオープンが遅れました。新型コロナウイルスによる行動規制がありましたので、自主的に行動を控えていた方も多かったと思いますし、現在のレストランや宿泊を営業していない温泉だけの状態と、直営化以前の客数は単純に比較はできませんが、昨年度の来客の推移は悪くないと思います。コロナ禍の中での営業ですし、新しくなってからまだ日が浅いのもあり今後に期待するところもあります。ただ、やはりそれまでの客層と少し変わってきたのかなという感じはしています。
ご意見箱等を設置しているわけではないので口頭で聞く程度ではありますが、以前は汚れているところが多数あったのでオープン前に浴槽や床を磨き、カランを変えて椅子や桶も全部変えて綺麗にしましたのでとてもきれいになったという印象を持つ方が多いです。
せっかく中庭があるのに中庭も見えないぐらいガラスが曇っていたので、オープン前にきれいにしたことで外の景色が見えるようになり、ご好評いただいています。日光が差し込んできたり、外の緑が見え、冬は降雪が中から見えたりという視覚的なところが以前とは違うところかなと思います。
モール温泉なので、どうしても床や壁に色がついてしまうのですが、きれいにしたこともあり全体的に明るくなったと感じていただいているようですし、実際お褒めの言葉を各方面からたくさんいただいています。
サウナブームということもありサウナでセルフロウリュができるようにしました。サウナで導入しているシステムにはお湯や水をかけてはいけません。蒸発皿の中に石を置いてそのものが温まれば可能ではないかと考え、地元の鉄鋼屋さんにも協力いただいて、自分たちで湿度を上げることができるようにしました。
以前から要望もあったサウナ室にテレビも設置しました。テレビはどうしても後付けになってしまうので、50度を超えると市販の防水テレビでも液晶が黒くなってしまうのでずいぶん苦労しました。
今後の課題等ありましたらお聞かせください
宿泊をやめたことでスポーツ合宿を受け入れられなくなってしまったので、今後宿泊部門をどうするかが課題です。宿泊を再開するにしても、選ばれるホテルの傾向としてシングルユースで洋室のベッドというところが多く、昔のような和室に布団を敷いて集団で宿泊するという合宿形態はなくなっていますので、検討しなければいけません。
別海町全体で見ると、客室の稼働率は30%〜40%くらいしかありません。ふるさと交流館で60〜70%の稼働率を維持するとなると従業員数が足りません。
温泉の入り込み数も曜日や時間帯など細分化して分析していかなければいけません。当然少ない日もあれば多い日もあります。何もしていなかったら指をくわえてただ待っているだけになってしまうので、前々週の数字を鑑みてポイント2倍のポイントデーを設定するなどしていますが、なかなか集客が伸びないのが現状です。
ただ、ポイントカード制は有用だと思います。ポイントが10個貯まったら11回目は無料になる特典をつけています。そのポイントカード自体には30個までスタンプを押せるようになっているので、計3回無料になります。
今年1月と7月に、30個スタンプが貯まったポイントカードを応募券にして、応募していただいたお客様に、ふるさと交流館オリジナルのバスタオルをプレゼントするイベントを開催しました。1月はあまり応募がありませんでしたが、7月は300〜400件とたくさんの応募がありました。相当数の人が、ポイントカードを持って楽しみに来ていただいているんだなという印象を受けています。
平準化されていませんが、キャンプ場とも相まって、多い時であれば1週間で約50万円売り上げていますで、年52週だとしたら約2,700万円になります。
町としての決定事項ではないので、あくまで担当課としての理想になりますが、厨房も広いレストランもありますし、宿泊棟もありますので、レストラン部門を始めて、宿泊の朝食などに対応するなど、本来の目的・本来の機能を最大限に有効利用したいという思いはあります。少なくとも宿泊事業を復活させたいと思っています。
一般客をホテルとして受け入れるためには、レストランの再開が先だろうとは思いますが、もし合宿に特化するのであれば食事はケータリングでもいいのかなと考えています。栄養士や調理師を帯同するようなクラブチームであればキッチンを使ってもらうのも一つだと思います。
(取材/2022年8月19日)