インタビュー:江西 浩太郎(えにし こうたろう)
有限会社 食彩倶楽部 代表取締役社長
中標津町に新たな風を吹き込む、若者たちの交流拠点が誕生。2023年11月、多国籍料理 呑食里のオーナー江西 浩太郎氏が、若者のための新たなスポットとしてシーシャバーをオープンさせた。
どのようなお店なのか? オープンに至るきっかけとこれからについても話を聞いた。
シーシャバーオープンに至るきっかけとその背景は
昨年の夏に、知人から「10月ぐらいで店を閉めるからその場所で店をやらないか」と声をかけられました。2月に呑食里を移転したばかりでしたし、その時は新しくお店を始めることはまったく考えていませんでした。
しかし、コロナが収束し、人々が動き始めるだろうという予感はありました。今年は中標津町に専門学校が開校する予定で、これまで若い世代が離れていった町に新たな可能性が生まれるかもしれないという期待もありました。
中標津は魅力的な町ですが、娯楽の選択肢が限られていると感じ、若い人たちが集まる場所が少ないです。そこで、たまたまシーシャに興味を持っている仲間もいましたし、自分自身もシーシャの文化に魅了されていたので、これを活かして新しい場所を作ろうと考えました。
コンセプトは、シーシャが主役ではなく、人と人の出会いがメインであること。音楽、シーシャ、お酒を楽しめる新しい選択肢として、中標津に住む人々にとっても、外から来る人たちにとっても、気軽に訪れられる場所になってほしいと思っています。
チルスポットはどんなお店ですか
現在、チルスポットではシーシャパイプを5台用意しています。様々なフレーバーが揃っており、フルーツからデザート、スイーツ、スパイスまで約60種類の味が楽しめます。これらのフレーバーを組み合わせ、お客様が自分の好みの味を見つけることができるようにしています。フレーバーのうち約8割にはニコチンが含まれていません。最近はタバコを吸わない人が増えており、喫煙者でもニコチンが入っていないシーシャを楽しむ傾向があります。
シーシャはお酒が禁止されているイスラム圏で、友達や家族との雑談を楽しむ際によく利用されている嗜好品の一種です。シーシャと聞くと「雰囲気が怪しい」「合法なの?」など、疑問に思う方も中にはいらっしゃいますが、ルールに基づき、小売販売許可を得た上で営業してるので安心して楽しんでいただけます。
お店でシーシャを吸わなくても全く問題ありません。実際、シーシャを吸わないお客様も半分ほどいらっしゃいます。水蒸気のような煙が苦手な方もいらっしゃるので、まずは気軽に試してみることをお勧めします。
ゆっくりとモニターで映画を鑑賞したり、賑やかに飲むこともできます。定期的に音楽イベントも開催しており、自分が好きな音楽がかかる中でシーシャを楽しむことも可能です。
これからの取り組みついて教えてください
この町で20代を過ごす人たちの出会いの場はほとんどありません。昔ならもっと場所があったのかもしれませんが、今は本当に想像できないところです。大人の遊び場や大人が楽しむ場所しかないと感じます。
40代以上の経営者が運営しているお店はたくさんあります。そこには同じような世代の人たちが集まります。若い経営者がいないので20代や30代が行きやすい場所がないというのが課題だと思います。
ビジネス的な側面よりもむしろ町のさまざまな文化、音楽、お店を育てていく意味で、若い世代が楽しめる場所やお店を作っていかないといけない。これは町の文化を豊かにしていくための取り組みだと感じています。
若い世代の視点を取り入れ、若者たちが主役になれる場所に大人たちが参加し、コミュニケーションをとることも重要だと考えます。今後、そういった場面がないと、確実に若者が減るだろうとの懸念があります。自分がうまくそのジョイント役になれたらいいなという思いから生まれた場所です。初めは賛否が分かれ、否定的な意見もありましたが、年末年始に地方から帰ってきた若者たちからの「この場所を作ってくれてありがとう」という感謝の言葉には救われた部分があります。
結果はまだわかりませんが、自分が手をつけなければ誰もやらなかったであろうこの挑戦が、地域にポジティブな影響をもたらすことを期待しています。
(取材/2024年1月18日)
若者たちが交流する場を提供することで、地域の社会的結束が強化され、新たなアイデアや活動が生まれやすくなる。若者が地域に愛着を持ち、参加意欲が高まることで、地域の未来に対する希望や活力が生まれることを期待したい。
【店舗情報】
chill spot(チルスポット)
営業時間 18:00〜1:00
定休日 不定期
標津郡中標津町西2条北1丁目9