地域を襲うコロナショック
コロナと戦う地元企業
株式会社 北央調剤

地域を襲うコロナショック<br> コロナと戦う地元企業<br>株式会社 北央調剤

地域のかかりつけ薬局として継続し続けるために。

新型コロナウイルスにより病院の外来患者数が減少するなか、薬の提供を続けてきた院外薬局では、どのような影響があったのか。その実態を聞いた。

インタビュー:柳田 政美(やなぎだ まさみ)
株式会社 北央調剤 代表取締役


コロナによりどのような影響がありましたか

 当社は薬局の経営をおこなうようになって昨年で30年が経ちましたが、この新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、昨年は一番厳しい年になりました。

 当面この厳しさは続くと思いますが、薬局には地域で患者さんを支えて、かかりつけの薬剤師、薬局としての機能を発揮し、事業を継続していくという地域に対しての責任があります。

 ただ、万が一自分や従業員が感染したら、薬局を続けていけなくなるのではないかという危機感を、今現在も感じています。

 しかし、悩んでいても不安が募るばかりですので、薬局として今できることを考え、実践していくことが大切だと思っています。

どのような対策をとられてきたのでしょうか

 待合室が密にならないよう、椅子の数を少なくしました。それでも混み合うような場合には、来局される患者さんに車で待っていただいたり、ご自宅に配達をさせていただくことをしています。このような状態でも、極力患者さんの待ち時間が少なくなるよう、これまで以上に心がけています。

 また、来局される患者さんには、マスクの着用や消毒は必ずしていただくようにお願いしています。

 カウンターには透明の仕切り版を設置しました。待合室は定期的に換気し、空気清浄機も常時運転させています。

 また、今回国の感染拡大防止支援事業の補助金を活用して、発熱者の一次スクリーニング※をおこなうために、画面に顔を写すだけで体温を測ることができる、AI機能搭載の体表面温度測定対応顔認証リーダーや、血中酸素濃度を指で測ることができるパルスオキシメーターという機器を導入しました。

 お薬をお渡しするときの服薬指導の際に、患者さんと近くなることはどうしても避けられません。万が一があってはいけませんので、PCR検査が必要です。今年1月には従業員と、その家族に検査を実施しました。全員陰性でしたので、安心しました。

今後薬局はどうあるべきと考えていますか

 開業してから長いのもあり、現在は主にかかりつけの患者さんや老人ホームなど施設のお薬を継続的に提供させていただいています。

 今後、アフターコロナという新しい時代において、情報通信技術の発展などを踏まえて、新たにオンラインでの服薬指導の導入も検討していこうと考えています。

 地域の中で医師をはじめとする多職種と連携することによって、それぞれの患者さんのため、より良質な薬の提供をおこなっていきたいと思います。

 新型コロナウイルス感染症の感染予防の観点からも、公衆衛生における役割を担い、さらに地域の方々の健康を担っていく身近な存在と思ってもらえるような薬局になるため努力していこうと思います。


※一次スクリーニング
 一般的に発症が予測される対象者を、その集団の中から選別することをいう。ここでは、自覚無自覚問わず、可能性のある方を判別するのと同時に、自身の体調確認のためにも用いられる。