旅人が気軽に泊まれる宿
春のオープンその後を聞いた

旅人が気軽に泊まれる宿<br>春のオープンその後を聞いた

車中泊ゲストハウス─SNSの特定の
コミュニティーからの口コミが広範囲に

インタビュー:亀田 亮太(かめだ りょうた)
        TOMARI STAY AND CAFE オーナー


オープン後の状況をお聞かせください

 当初は民泊とカフェにする予定でしたが、車中泊ゲストハウスに変更しました。カフェ併設のリビングやトイレは共有で使用することができますが、宿泊は車かテントになります。

 こういう施設がこの地域には他にないので、わかりやすく車中泊ゲストハウスと言っています。宿泊はテントと車のどちらでもでもいいというスタンスなので、ゲストハウスに近いと思います。調べたら北海道外では能登半島の方に近いことをやっているところがあって、自分もできそうだと思い、今年の3月に急遽予定を変えて、4月に車中泊スペースをオープンしました。

 料金は1区画プラス人数で安めに設定しています。1区画の中に車は1台が停まれる広さで、1区画車1台で1人1、500円になります。2人の場合は2、000円、3人で2、500円。キャンピングトレーラーなどで複数人の場合は3、500円いただいています。

 カフェは1ヶ月前からプレオープンしています。もともとカフェをやる予定だったので、車中泊の料金は安くして、カフェでお金を使ってもらえるようこの設定にしました。まだ完成していない状態での営業なので、プレオープンと言っていますが、まだまだ直すところがあるので、当面はプレオープン中と言う形になると思います。

 カフェを始めるまでの車中泊だけでやっていた時には売り上げも低く厳しかったですが、カフェでクラフトビールを導入してからはみなさんに飲んでもらえるようになりましたし、ご飯も食べてもらっているので結果としてようやく形になってきたかなと思います。

 宿泊されるお客様にもキッチンを使用していただけるようにしたいのですが、飲食店用と宿泊者が使うキッチンは完全に分かれてなければいけないので、いまキッチンはカフェのみで使用しています。泊まる方が使うキッチンはもう少しで完成する予定です。

 冷蔵庫やストッカーを設置して、釣りのシーズンになったら魚をさばけるような包丁と、真空状態にできるようにそのセットなどを設置予定です。

 今は宿泊者の共有スペースとカフェが一体化している状態ですが、9月〜10月には宿泊者の共有スペースとカフェを完全に分離します。

カフェではどの様なメニューを提供していますか

 カフェでは現在は主にカレーを提供しています。一度に20〜30食分くらい作り、なくなったら新しいカレーを作る形をとっているので、レギュラーのカレーは用意していません。基本的にはキーマカレーがベースで、レンコンを使ったカレーや、キノコを使ったカレーを作ったりしています。最近ではイエローカレーを作っていて、シーフードカレーも作る予定です。スパイスを自分で組み合わせて作るカレーなのですが、気分や仕入れによって変えていくのでコロコロ変わっています。

 汁なし坦々麺も提供していて、とてもおいしいと自分でも思います。坦々麺を出し始めてからコアなファンがつき始めました。毎日のようにくる方もいます。結構中毒性があって2日〜3日経ったらまた食べたくなる。そういう料理です。スイーツにはティラミスを用意しています。1度に大体10〜15個しか作れないので、半日か1日でなくなってしまいます。

 カフェだけで利用されている方も増えています。最近だと主にInstagramを広告として使っているのですが、よく知らずにハッシュタグで使っていた「行き先は北海道」が、実はハッシュタグではなく北海道のグルメや景色を発信するアカウントだったらしく、そのアカウントでティラミスの写真が取り上げられ、ティラミスを食べに来てくれる方が多くなっています。

 コーヒーは3種類用意しています。本当は10種類くらいまで広げたいと思っているのですが、コーヒーに慣れていない方からすると品揃えが多いと、選び方も注文の仕方も分からないとハードルが高く感じてしまいますので、オリジナルで作ってもらった苦めのコーヒーと、フルーティーなコーヒー、少し甘いような苦さのあるコーヒーのわかりやすく3種類だけにしています。今後少しずつ種類を増やしていく予定です。

どういった客層の方が利用されているのでしょうか

 今はカフェのみ宣伝していて車中泊は宣伝していませんが、車中泊に気付いた人が使ってくれればいいなと思いながら今は営業しています。

 Instagramで僕が工事を始めた頃からフォローしてくれている方がゴールデンウィークに来てくれたことがあります。北海道中のキャンピングトレーラーで旅をする方々の中で、招待制のFacebookのグループがあり、そこに「標津町にこういうところができました」とグループ内で広めてくれて、多くの予約が入りました。同じようにそれぞれのコミュニティーで広めてくださっているようで、来てくれる方がいます。焦らずに数年かけてじわじわ広がっていけばいいかなと思っています。

 当初はこんなに人が来てくれるとは思っていなくて、1週間に2台〜3台来るかなくらいで予想していました。カフェもそこまでではないだろうと考えていましたし、長いスパンで来店者数を増やしていこうと思っているので、想像していたよりは結構順調だと思います。

 目標としているのはあまり整えすぎず、どんどんクローズ化していきたいと考えています。一見さんが入れない会員制のコミュニティーを作り、ここでゆっくりする人が2〜3年かけて増えていけばいいかなと思っています。

(取材/2022年8月8日)