不登校になったとしても
子どもの状況にあった選択肢を。
長かった休校がもたらしたもの。
不安、ストレス、学習の遅れ、私塾の考える子供たちのサポートとは?
インタビュー:中浦 達也(なかうら たつや)
中浦教室 塾長
学習塾にコロナの影響は?
緊急事態宣言が出た時には大規模な塾は休業要請の対象となっていましたが、小規模の塾は対象とはなっていませんでしたので、続けて良いのかと悩みました。
学校が休校となっていたので、親御さんもどこかで勉強してもらいたいという気持ちもあると考え、できる限り要望に応えていこうと、時間帯を変更して学習指導をしていました。
感染防止対策としては消毒やマスクの着用のほか、教室内ではできる限り生徒が間隔をとって座れる配置を考えて取り組んでいます。みなさんそうだと思いますが、今まではやっていなかったことをやらなければならなくなり、仕事が増えました。
現在もコロナウィルスに関する情報を取り入れながらできる限りの安全対策をしています。
休校が続き子供達に変化は?
塾には通って来ていても、家から出てはいけないのではないかという不安を持っている子どももいました。子どもたちは親や学校の先生、そして塾の先生など大人の言葉で安心もすれば不安にもなります。
あまり心配していないように見える子どもが多くいる一方で、様々な方面から話を聞くと、不安で学校にも行けなくなってしまった子どももいます。
この地域にどれくらいいるのかというデータは持っていませんが、まちがいなく全国的に増えています。
不登校の生徒にどのように対応しましたか
学校や中学校で不登校になり学校に行けなくなっても、中学校を卒業して高校に進学することができます。
中標津ですと有朋高校という通信制の高校があり、毎月日曜日に2、3回中標津高校に通って勉強することで高校を卒業することができます。また、通信添削や映像授業、インターネットを通じて学習することで、学校に何日も通わずに卒業できる通信制の高校も全国規模であります(広域通信制高校)。高校卒業にこだわらない場合は、高卒認定試験を受けることで大学や専門学校への進学ができます。8~10科目の試験を合格する必要がありますが、比較的簡単に合格できます。しかし、数学や理科はひとりで勉強を続けていくことが難しいという人が多いと思います。
中浦教室でも通信制高校と高卒認定試験のサポートをしていますので、疑問をお持ちの方にはご相談に乗ります。塾に通ったりオンライン指導を受けて勉強することで、通信制高校を卒業したり、高卒認定試験に合格することができます。
不登校になったとしても、自分に合った方法で勉強して進学することができるということを、ぜひ知ってもらいたいです。
【中学卒業後の進路の選択肢】
・一般的な高校に進学する
・北海道有朋高校(中標津高校)に進学する
・広域通信制高校に進学する
・高卒認定試験を受験する
その後、大学や専門学校へ進学
休校での学習への影響は?
学校側もまったく初めてのことなので、どのように指導したら良いのか試行錯誤しながらやっていたと思います。
塾に通っている生徒を見ていると、休校中にかなり課題が出ていましたので、自分で教科書を読んで学習できる子は良いのですが、そうでない子はよくわからないまま教科書を真似て答えを埋めるという感じだったでしょう。そうするとどうしても理解の度合いに差が出てしまいます。
休校中の学習内容がわからないまま進んでしまうと、その後の学習に支障が出ていると思います。
受験生の変化は?
中学生・高校生ともに昨年春の学校の休校で学習のペースを崩してしまったり、受験対策が遅れたりしていることを心配している生徒が多いということです。
高校生は、全国的に県内・道内の受験が増えているようです。北海道の高校生ならば道内を受験するということです。また、医療系を志望する高校生も増えているようです。
当塾の生徒は高校1、2年生から自分で勉強できるようにやってきましたので、あまり大きな影響はなかったと思います。一方で授業の遅れやコロナ禍で心理的に前向きになれないというような子も見受けられましたので、気持ちを汲み取って対応する難しさはありました。
この状況にあった受験対策というところは対応しきれなかった部分もありますので深く反省しています。
塾の運営に変化は?
収束してもコロナ以前には戻れないという予想もある中で、オンライン指導を取り入れて運営方法を変えていくことにしました。昨年の4月から「すらら」というスマートフォンやタブレットで受講できる解説動画の学習システムを導入しました。塾でインターネットを使って学習し、同じシステムで自宅でもインターネットを使って学習できるようになっています。
ですから、万が一今後もコロナの影響で学校が休みになったり、その他の理由で塾に来られなくなったりした場合でも、自宅で「すらら」を使って勉強し、電話やLINE、Zoomを使ってわからないところを指導するかたちを取っていこうと考えています。
このシステムの導入で地域外の生徒にも対応できますし、集団の中が苦手な子でもオンラインなら学習しやすいと思います。
インターネットを利用したシステムは全国の様々な塾が取り入れていて、この地域に住んでいて他の塾の学習指導を受講することも可能です。大手の塾でもオンライン指導を行なっていますが、サポート面で地元の塾との違いが出てしまいます。
地元なら実際に来てもらって対面での対応も可能ですし、地域の学力レベルや進学に対する意識など、地域の事情をわかっていますので、日常の学習から進学につなげていくことができます。
当塾では1993年に塾を始めた時からこの地域の中学生・高校生の進学指導に携わっています。この地域の教育の傾向をつかんでいるということが、当塾の強みになると思います。
この10年間で、知識や解法を覚える教育から思考型・対話型の教育への転換が求められるようになりました。当塾でも、知識や解法の学習はすららやブロードバンド予備校を利用して指導し、対面・オンラインの指導で思考型・対話型の学習ができるように進化させていきたいと考えています。