地域を盛り上げる団体の活動と目的とは

地域を盛り上げる団体の活動と目的とは

コロナ禍でのイベント自粛尾岱沼に花火を復活したい!

インタビュー:藤村 亮太(ふじむら りょうた) RINC 代表


どのようなきっかけでRINCという団体ができたのですか?

 きっかけは土曜日と日曜日の2日間開催していた尾岱沼えびまつりが、日曜日のみの開催に変更になった時に、野付漁業組合の青年部と尾岱沼商工会で土曜日に前夜祭のようなものを協力してできたらおもしろいよねという話がでたことです。その話の中で、30年ほど前までえび祭りの際に、打ち上げられていた花火を復活したいという声もありました。

 野付漁業組合の青年部に所属しているので、組織として取り組むことも考えたのですが、責任を持って自分たちで活動したいという思いもあり、前身である尾岱沼花火実行委員会という団体を2019年8月に設立しました。

 しかし、その名前だとイベントを開催するたびに「今日は花火あがらないの?」と聞かれてしまい、花火をあげる活動だけしている団体だと思われていました。

 きっかけは花火を上げたいということではあったのですが、花火だけではなく尾岱沼という地域を、さまざまなかたちで盛り上げていきたいという思いもあり、つながりたい人と人の輪を大事にしていきたいという思いで、RINCという名前に変更し活動をすることになりました。

どのようなメンバーが所属しているのでしょうか?

 イベントの開催にはたくさんの人数が必要です。ですが、誰でも彼でも声をかけて人数を増やすというやり方では、長続きしないと思いました。尾岱沼のことを真剣に考えてくれる熱意のある方に声をかけ、メンバーを集めていきました。当初のメンバーは8名でしたが、現在は14名で活動しています。8名の漁師や仲買、飲食業、鉄工所、メンバーの奥さんなどの有志で運営しています。

活動内容はどのようなことですか?

 今年の7月も開催したのですが、道の駅まつりという企画を運営しています。道の駅おだいとうの駐車場で、地元の食材を使用した料理や地元飲食店の屋台をつくり、立ち寄ってくださる方々に食を通じて尾岱沼をアピールしたいという思いでこれまで3回開催しました。

 尾岱沼竜神花火という企画も昨年、今年と8月に開催しています。野付中学校の生徒さんにもボランティアとして協力してもらい、別海町の補助金と道の駅まつりの収益を活用して運営しました。来場人数は計測していませんが、2回目となる今年はたくさんの人々の協力もあり、大変盛り上がりました。昨年は赤字運営でしたが、今年は予算内で運営できたのではないかと思います。

 昨年の11月には、モエレ沼芸術花火や茅ヶ崎サザン芸術花火などを手がけるGREAT SKY ARTさんに依頼し、音楽のリズムや曲調にシンクロするよう綿密にプログラムされた、芸術花火のイベントを尾岱沼で開催する予定でした。

 新型コロナウイルスの感染拡大もあり昨年は中止となり、今年も開催を見送るかたちとなりました。資金面や開催場所の使用許可など、さまざまな課題もありますが、来年度の実現に向け今も活動しています。

今、尾岱沼に対して思うことは?

 非常にポテンシャルのある地域だと思います。キャンプ場があるのでアウトドアも楽しめますし、野付半島や海もあるので観光でも楽しめます。民間で観光事業に取り組む会社をつくれば、新しいスタイルの事業ができるかもしれません。私は漁師なので、漁業体験も観光のプログラムに組み入れたりできるとおもしろいと思います。

 尾岱沼はシーズンによっていろいろな楽しみ方があります。北海しまえびの漁期は、獲れたてのえびが食べられますし、冬には流氷を見ることができて、野付の氷平線イベントや湾内でスノーモービルに乗って遊ぶこともできます。そういった情報を知ってもらうには、尾岱沼という名前が全国的に広がっていくことが必要だと思っています。

 漁師は少なくなっていくと思います。地域の8割程度は漁師なので、それに伴い人口も減ってしまいます。漁師の家庭でも、子どもには漁師を継がせたくないという家庭もあります。漁師という仕事に誇りをもち、魅力を伝えることをしていかなければこのまま衰退していくでしょう。

 この団体の活動を通じて、そのような思いが少しでも多くの人に伝わればうれしいです。

(取材/2021年8月20日)