新しい特産品となるか?葡萄の栽培とワイン製造

新しい特産品となるか?葡萄の栽培とワイン製造

偶然育てることになった葡萄の栽培から6年、
収穫された実はワイナリーに託された

インタビュー:田村 正範(たむら まさのり)
美しい村標津産蕎麦作り研究会
知床標津マルワ食品 代表取締役


どのような経緯で葡萄を育てることになったのでしょうか

 平成27年に、前町長の金澤さんが別海町の元教育長である葛西さんから葡萄を育ててみないかと言われ、30本の苗をいただいてきました。池田町の「清見」という葡萄の苗です。基本的に池田町から外へは持ち出せませんが「清見」という品種は持ち出しが可能で、葡萄がなった後の捨ててしまう苗をもらいました。うちは蕎麦や芋などいろいろつくっているので、金澤さんから葡萄の栽培を勧められ育てることになりました。

 苗床に定植してみると、30本のうち22本が定着したので、翌年に畑に植えました。また前年に続いて70本の苗が届いたのでそれも苗床に定植しています。2年目には2列22本、3年目には44本増えて66本とどんどん増えていき、今では11本1列が4メートル間隔で8列、88本の葡萄の木を育てています。

 化学肥料はよくないということで、鶏糞で育てています。さらに31年からは毎年、鮭節の作業場から出る灰を根まわりに散布しています。葡萄は弱アルカリの土壌性の土壌が良いと言われているので、土壌改良になるということで灰の散布を毎年続けています。

 随分となりが良くなってきたので、令和元年には葡萄ジュースやソース、ジャムを作っています。子ども園の子どもたちに熟したやつを採って持って帰ってもらったりもしました。この辺の人たちは葡萄がなっているのも初めて見る人が多いと思います。自分たちでハサミを持ってきて摘んでもらったんだけど子どもたちは喜んでいましたね。

 育てはじめてから5年目の令和2年は非常にブドウのなりが良かったので、ご縁があった「めむろワイナリー(芽室町)」さんに持ち込むことになりました。収穫こそ最初は少なかったんですが、徐々に多くなってきています。400キロあれば200リットルの樽一本になりますと言われていましたが、実際収穫したら800キロありました。ただワイナリーの樽が足りないということで、大きなステンレスのタンクに入ってます。

そば畑の一角を利用して育てている感じですか?

 いろいろなところの土地を借りてそばを作っていたので畑が増えていました。最初にソバを蒔いていた畑は、大豆や小麦を育てたりといろいろ試しています。いまそこではジャガイモを育てています。ジャガイモを2年育てたら、ソバを育てるというように回しています。ブドウは端から埋めていったんですが、列が増えていったので、今では結構なスペースをとっています。

 今の南知床標津町観光協会の会長である井南さんの土地で葡萄やスモモなどを育てているのですが、最終的には果樹園にして体験型観光や葡萄狩りができるようにするのも良いかなと思っています。

この地域は葡萄を育てる環境として適しているのでしょうか

 正直わかりませんでした。とりあえずやってみようという感じでしたね。実際にやってみると、凍害もなくて全然大丈夫です。

 池田町の話を聞くと、池田町は雪が少ないので木が雪で覆われるということがないそうです。ですから凍害でその木がダメにならないように収穫した後は木を寝かせて、その上に土をかけるらしいです。春にそれを起こしてまた張ってやれば、そこから芽が出てきます。

 その話を聞いていたので、その作業もする必要があるのかなと思っていましたが、雪で木が覆われることが多いですし、やってみたら今までダメになることもなく毎年、実をつけていきました。何もしていないので冬も木はそのままです。

 正直ワインを作るまでになるとは思っていませんでした。

できたワインは商品として売る予定ですか?

 自分たちで楽しむ分で終わってしまうのか、色々な方に飲んでもらえるのか量はまだわからないのですが、全部商品として出します。

 かなりの本数はできるということなので、今ラベルを考えています。製造元はめむろワイナリーになりますが、販売がうちになるのか、酒造免許の関係もあるので問屋を通さなきゃいけないのか今調べているところです。

 今回のワインがおいしいようであればふるさと納税の返礼品としても使えるかなと思っています。

(取材/2022年1月13日)