インタビュー:永野 貴浩(ながの たかひろ)
ミートハウスながの オーナー
尾岱沼の「ミートハウスながの」敷地に「星おどるRVパークおだいとう」がオープンした。RVパークのアイデアがどのように生まれ、なぜこの場所で開業しようと思ったのか、そして提供するサービスや設備についても詳しく話を聞いた。
RVパークのアイデアはどのように生まれましたか
尾岱沼を訪れる観光客に通り過ぎる地ではなく、魅力的な滞在体験を提供するためにRVパークの設立を検討しました。ここでは宿泊することで、近隣の居酒屋や温泉を楽しむだけでなく、ゆったりとした時間を過ごすことで新たな環境や異なる土地、各産業、そして野生動物との触れ合いを満喫できます。さらに、歴史的な魅力に触れる機会も広がります。滞在型の体験によって、余裕のある時間を活かして少し道を外れて散策することもあるでしょう。その中で見られる道路からの景色や海岸、内陸の風景など、些細なものにも心を寄せ、その瞬間を通じて新しい視点から環境を楽しむことができるでしょう。こうした経験を通じて、視野や考え方が変わるかもしれません。
また、このRVパークの魅力の一つは、抜群の立地にあります。野付半島や知床の美しい風景を楽しむことのできる、野付・風連道立自然公園に囲まれています。季節ごとに変化する風景の中で、野鳥たちが舞い踊る自然の美しさを感じることができる場所です。
現在、道の駅の駐車場には多くの宿泊客が訪れており、地域を訪れる皆さまには、地元産の商品をぜひご賞味いただきたいと考えています。また、その後はネットショップなどを通じて商品を購入いただくことで、地域経済の活性化を期待しています。私たちは、訪れる方々に素晴らしい体験と共に地域の魅力を感じていただけるよう、一心で取り組んでいます。
RVパークで提供する主なサービスや設備について教えてください
当RVパークでは、1泊車1台につき料金は4、500円に設定しています。私たちは利用者の利便性を最優先に考え、15台分の電源付きRVスペースと5つのフリーテントスペースを整備しています。移動の際には電源が必要な場合も多いですし、暑い日には短距離でも電源が必要なことがあります。そのため、しっかりとした電源設備を整え、利用者の利便性を確保しています。電源の配置と設計においても、景観を損なわず周囲の自然と調和するよう心がけました。
快適な滞在をサポートするため、店舗内のトイレは外部からも利用可能にし、仮設トイレも設けています。また、環境への配慮からゴミ処理にも力を注ぎ、ダンプステーションを整備しました。これにより、キャンピングカーの排水やトイレの処理、燃えないゴミの処理にも対応可能な環境を整備しています。すべての利用者が環境に優しい滞在ができるよう、細心の配慮を行い、ゴミの不法投棄の減少を願っています。
これらの取り組みによって、ごみ処理に関する問題を事前に防ぎ、全ての利用者が快適な環境で滞在できるよう配慮しています。私たちのRVパークは、お客様の安全と快適さを最優先に考え、サービスを提供しています。
ある日、本州からリストラされたサラリーマンが当RVパークを訪れるという出来事がありました。夕日に染まる静謐な夜の中で、彼が自身の思いや悩みを率直に語る姿は、私たちのパークの重要な要素として深く根付いていることを実感させられました。こうしたお客様との対話が、私たちのコミュニティを形作り、共有の体験を築く基盤として大きな意義を持っています。そして、その対話が彼の新たな絆を育む契機となり、より充実した人生を模索するための道しるべとして機能していることに、私は深い喜びを感じています。
野付半島から知床連山まで一望できる好立地。夜には満天の星空を鑑賞できる。
電源を設置する際にも、周囲の自然との調和を念頭において、環境への影響を最小限に抑える工夫がなされいる。
今後の展望について教えてください
今シーズンのお客様の特徴は、主に高齢の方々が中心で、仕事を引退されてからのんびりと過ごすことを楽しまれています。自由な時間を大切にし、心地よい瞬間を追求されています。また、ペットを連れて旅行に来る方も多く、その光景が頻繁に見られます。
こうしたお客様の要望に応えるために、私たちは幅広い施策を考案しています。たとえば、ペット同伴のお客様には、専用のドッグランを整備し、愛犬と楽しいひと時を過ごせる場を提供。さらに、長期滞在を希望される方には魅力的な割引制度を導入する計画なども考えています。
私たちはお客様の声に耳を傾け、その声に合わせた施策を実行することで、快適で満足度の高い滞在を提供することを心がけています。これにより、お客様にとって特別な思い出となる場所を築き上げることを目指し、今後もサービス向上に努めていきます。
また、車で食事を楽しむお客様は、のんびりと温泉に浸かる時間を大切にされる傾向があります。同時に、地元の食事を楽しみながら地域の人々と交流することを望むお客様も存在します。こうした交流から、地元のコミュニティが生まれていることが明らかとなっています。地元の漁師との親交を深め、漁師さんの家でバーベキューを楽しむ方も見受けられました。今後も地元の方々や地域内の産業とお客様との交流を通じてコミュニケーションを活性化させる取り組みを進めていきたいですね。
将来的な展望としては、地元の住民や地域産業も参加する共同の場を形成し、地域全体に貢献する場所を築くことを目指しています。同時に、お客様の満足度向上のためにも、改善すべき点を見つけ出し、積極的に取り組んでいく予定です。私たちは段階的に取り組みを進展させ、地元の皆様にとって特別な場所として成長させるために努力していきます。
新しいアイデアの実験や、専門家の知見を取り入れることが重要です。過去の経験や知識をベースにしながら、柔軟なアプローチで課題に立ち向かう姿勢が求められます。同時に、行政や自治体との連携を強化した取り組みも検討の余地があると考えています。
(取材/2023年8月21日)
地元の食事や文化に触れ、地域の人々との交流を通じて、旅行者と地元住民の結びつきを強化する。このプロジェクトが地域コミュニティと観光客の間に素晴らしい橋を築いてくれるだろう。魅力的な体験を提供し続け、地域社会に貢献し続ける姿を期待したい。
【店舗情報】
ミートハウス ながの
TEL 0153-86-8281
営業時間 11時30分〜20時
定休日 火曜日
野付郡別海町尾岱沼岬町65