女性初の副町長─町の将来を見据えて。
新体制の町政における役割と思い
インタビュー:星 京子(ほし きょうこ)
標津副町長
副町長に就任して
女性初ということはあまり意識していませんが、周りの方から頑張ってねというお声はいただいています。町長を補佐していくという立場ですけれども、やはり全体を広く、そして公平に見なければなりません。今は昔よりも、町長や副町長と職員との距離が近づいているかなと感じていますし、私自身なるべく親しみやすく声をかけていくようにしています。職員に寄り添って、また職員間で何でも話せるような体質にしたいと思っています。
また、町長とは同期でこれまで共に切磋琢磨してきた同志とも言える間柄で、ある程度信頼関係もあると思います。最善の方向を考えるのも1人ではなかなかできないことですから、職員の知恵も借りながら町長の考えを尊重しつつ、やりやすい方向に持っていくことが一番の役目だと考えています。
山積みの課題に思うこと
現在漁業が不振で、特にサケ漁が不振なので、それをどうしてゆくのがいいのかを考えています。
町民はそれぞれの生活、生業がありサラリーマンの方々もいますから、漁業関係者だけを手厚く支援することはなかなか難しいのですが、先の見える前向きな取り組みに対しては、積極的に支援していった方がいいと思っています。
相手が自然ですので、具体的な対策はなかなか打てていませんが漁業者自身が前向きに取り組みをおこなってゆくのはいいことだと思います。
2021年の春、ニシンが獲れた時は、漁業者の方々が大きさを揃えたり、雄雌を選別したりしたことによって結構な値段がつきました。今までであれば、獲れたものをそのまま市場に卸し買ってもらうことが多かったと思うのですが、それではお店に持っていった時に仕分けしなければいけない手間もあるので、今回のように自分たちで高く買ってもらえる方法を若い漁業者は考えているようです。
やはり自分たちでいろいろ工夫してみて、それに対して町が支援するという形がいいのではないかと思っています。
標津でも試験的にいろんな事はやっています。新資源開発としてのナマコ種苗放流への支援や、エビの資源調査をおこなったり、ウニの種蒔きをしてみたり、今年はニシンが取れたのでニシンを使って何かできないかなど、生産者が中心になって新しい資源開発に取り組んでいるのですが、すぐには答えが出るものではないと思いますので、まだ時間がかかるかなと思います。
コロナ禍の先を見据えて
現時点では地道に支援を継続していきたいと考えています。コロナがなくなることはありませんので、コロナと付き合いながら、どうしていくべきかを考える必要がありますし、それが今の課題でもあります。
事業を始めるために無利子で貸し付けをおこなっていても、結局そのお金を返さなければいけないので、私たちにできることは利子補給制度を利用していただくなどの対策しか打てない現状でもあるので、とにかく早く終息してほしいと願いながら政策を進めていければと思います。観光業においても「稼げる観光」を掲げてこれまでやっていましたが、それもコロナの影響で難しい状況があります。
コロナ禍の中での街づくりは非常に大変だと思います。飲食店をはじめ大きな影響があるのは間違いありません。現時点での対策はもちろんですが、コロナがある程度落ち着いてきたときを見据えた投資していけるかどうかが鍵になると思っています。
職員はもちろんですが、町民の皆さまの知恵も借りて、行政と町民が一体となり、月並みな話ではありますがそれぞれができることをやっていかなければいけません。
町ではコロナ関連だけではなく、子育てなどの助成・給付金を出していますが、住民の方々からの意見も聞きながらまちづくりを進めていきたいという理想はありますが、それもそれぞれに余裕ができないとできないことです。
農業は今のところ好調ですが、ずっと未来永劫このまま続くのかを考えるとそうではありません。後継者問題もありますし、新規就農者も決して多いと言える状況ではありません。
標津町には、就農のための施設などはありませんが住宅料を補助したり、就農トレーナーという農業をリタイアした人や自分の家で実習をさせながら教えてくれる農家さんにお願いして、新規就農のための準備ができるようにしています。また、閉校した学校の教員住宅を農協さんに貸し出したり、農業スタッフへの貸付も行っています。小さな支援ですがこうしたことで、農業に携わる人や新規就農を目指している人が少しでも増えることを望んでいます。
(取材/2021年8月23日)
標津副町長
星 京子(ほし きょうこ)
生年月日 昭和34年11月17日
年齢 61歳
経歴
昭和53年 4月 1日 標津町役場奉職
平成 5年 4月 1日 総務部総務課総務係主査
平成 5年 7月19日 総務部総務課北方地域交流推進係長
平成16年10月 1日 総務課主幹(総務担当)
平成18年 4年 1日 福祉課長補佐
平成22年 4月 1日 企画政策課財政参事
平成24年 4月 1日 財政課長
(令和2年3月31日定年退職)
令和 2年 4月 1日 企画政策課プロジェクト推進室担当参与(再任用)
令和 3年 7月15日 副町長就任