外食が減る中、食卓へ作ったものを届けるために
体に良くて美味しい餃子を子どもたちに
その思いから始まったぎょうざを全国へ
インタビュー:佐藤 広光(さとう ひろみつ)
佐藤さんちのぎょうざ 店主
佐藤 大介(さとう だいすけ)
佐藤さんちのぎょうざ 広報担当/タスタスデザイン 代表
佐藤 広光(さとう ひろみつ)
佐藤 大介(さとう だいすけ)
全国発送をはじめることになった経緯
佐藤(広) 町内だけでは厳しい状況ですので、どうすればいいだろうかを息子とも話をしてきたのですが、それならば外へ向けて商品を売っていくといいかもしれないということで全国への発送を始めました。
佐藤(大) この商売を始めた頃は、やはりまずは地元の方に知っていただきたいというところから始まったと聞いています。 15年くらい経って以前よりは認知されてきていると思っています。最初の頃はお祭りに出店しても「なんで餃子売ってるの?」という感じでしたが、今では町内や近隣の方には「佐藤さんちのぎょうざ」という名前を聞くと「ああ、あそこね」と思ってもらえるようになってきたかなと思っています。そこで次の段階として少しずつ外に出て行こう、そういうフェーズにそろそろ移行してもいいのかなと思ったのがきっかけです。
佐藤(広) まず認知をしてもらうことと、商品力を上げていくことが第一目標でしたので、餃子1つに対してのこだわりを少しずつ打ち出しています。今でもチラシをこの辺一体に定期的に出すようにしています。
釧路のイオンで10年以上販売していただいていますので、他地域での販売に関しての下地は少しずつできてきていると思います。ただ、「中標津の餃子屋」としての認知度はまだまだです。
佐藤(大) 中標津でそこそこ知られていても、町外に出ると知られていない。そこでコープさっぽろさんに直接カタログに載せていただくことはできないかと交渉しました。現在はトドックさんで配られているカタログに年に3〜4回定期的に掲載していただいています。
トドックさんは全道10万世帯以上に配送していると思いますので、買っていただくところまでいかないとしても、定期的に目に触れるだけでも随分と違うのではないかと思います。
中標津にはこういう餃子屋があるということを少しでも知っていただきたいので、Web広告を利用したりピンポイントで札幌だけにチラシを配ることもしています。認知していただけるのであればと、外部からのご依頼や掲載依頼も内容を聞かせていただいた上で受けさせていただいています。
最近では、ほくでんのエネモール主催で北海道と全国の名品と戦うという「ご当地選手権 餃子編」に宝永さんなど有名な餃子に並んで、なぜかうちの餃子が選ばれて、北海道の4選抜にえらばれました。その4選抜が全国的に有名な宇都宮餃子と競いました。残念な結果ではありましが、そこに参加できただけで、少なからず道東にはこういう餃子があることを知ってもらうことができたのでよかったと思っています。
生産体制の強化
佐藤(広) 餃子を巻く機械の設備にも投資したので、作る数もそれなりに増やせるようになりました。
最初は全て手作りでしたが、現在は肝心なところは手で作っていますが、機械で餃子を巻くようにしているので、あっという間に何千個も作れてしまいます。
佐藤(大) 機械といっても手でまくのと味は変わりません。機械でふわっと巻くのですが、それが手で作るよりも焼いた時にふっくらするんです。手では作り出せない何かがあるのかなと思っています。また、今は衛生面でも厳しくなっているのですが、手袋をはきながら巻くのは結構難しく大変です。でも機械であれば手袋しても問題なく作業ができるので、そういった面でも今の時代に合っていると思います。
味も別に落ちないどころかむしろ美味しくなって、なおかつ衛生面でも良いというところで、機械化することは色々な課題を解決してくれるという、いい側面があるなと今は思っています。
おいしいまま遠くへ商品を届けるために
佐藤(広) 最初の頃から地元の肉屋さんからいい肉を仕入れていますし、添加物は調味料の中にわずかに入っているものがありますが基本的に使っていません。お店と同じものを提供できるようにしています。
作業工程からいくと、作ったタネを一晩寝かせて、次の日に機械で巻いて、真空パックしてすぐに冷凍しています。普通の冷凍庫と、大きなストッカーに保存しておいておくので製品の劣化はほとんどありません。
ギフトとしての販売もやっているので、多く作っても3日以内には全て発送してしまうくらいで、長期間置いておくことはありません。
一番いい状態で出せていると思います。できるだけ早く食べてもらいたいとは思いますが、賞味期限は2ヶ月で長く保ちます。
佐藤(大) 東武さんでも販売していますし、店舗で食べていく時についでに冷凍餃子を買っていく人がいたりと、現状はまだ地元で買っていただいている方が多いです。しかし今後は札幌や道外からの注文が多くなって欲しいと思っています。昨年あたりからふるさと納税の方も参加させていただいています。こちらも少しずつ増えていると思います。
対面ではない販売の仕方や、冷凍品・冷凍食品の需要性は上がっていくと思います。
これからの展望
佐藤(広) まずはこれからも長く継続していくことでしょうか。そしてさらに売り先を見つけ、露出するようにしていきたいと思っています。私たち夫婦はそういう関係は弱いので、販路の拡大や周知の方法に関しては息子に頼っています。
佐藤(大) これからは冷凍品の方がより多くの方に食べていただけるのかなと思っています。今は店内での飲食がメインになっていますが、より多く召し上がっていただけるのであれば、その比重を今後は冷凍餃子やから揚げの方が上回っていくことを考えていかないといけないと考えています。飲食の比重を下げてゆくのではなく、現在の飲食よりも上がるようにしていきたいです。
佐藤(広) いくら色々なメニューを用意しても今は食べに来てもらうのも厳しい状態ですし、テイクアウトはもう当たり前のものになってきています。今は餃子とから揚げを冷凍品として主に販売していますが、肉味噌やタレなど他にも販売できる商品があるので、ひとつずつ売れる商品に育ってくれればと思っています。
佐藤(大) もともとこの商売は両親2人でスタートしています。母が子どもたちにより手軽に健康なものを食べて欲しいという思いが、大きな柱となっているので今後もそこはブレてはいけないと考えています。保存のために急に添加物を使いだすとかはこれからもありません。餃子で健康を支えたいというコンセプトは今後も大きなテーマだと思います。
もちろん店舗でしか食べることができない麻婆麺をはじめサイドメニューなど人気のメニューをこれからも楽しんで欲しいという思いはあります。
父と今後の話をしたのですが、麻婆麺も父が働けなくなると作る人がいなくなってしまいます。1年間で約2千食、月に200食くらい出ているという実績があり、2万人ほどの人口の町に対してこれほどのインパクトがあるメニューですから、将来的にレシピとして売るという方法もあるのかなと思っています。もちろん当分はその予定はありませんが。
まだまだ目の付け所によっては、いろんな形に変化できるのかなとは思っています。
(取材/2021年8月25日)