地域で躍動する外国人留学生 人手不足の解決となるか
中標津町の飲食店で、岩谷学園ひがし北海道日本語学校の生徒たちがアルバイトを始めた。言葉の壁、文化の違いに地元企業はどのように対応しているのか。
働く学生たちには自己紹介と合わせ、日本での仕事の印象やどのように取り組んでいるかを聞いた。
炭火焼肉 金龍
【雇用主の声】
インタビュー:代表 富崎 仁友(とみざき よしとも)
どのような仕事をしていますか
7月中旬からハイダルさんが働いています。ホールの仕事をしてもらっていて、お客様のご予約の15分前になったら七輪に炭をセットしたり、おしぼりやお皿をセット。お客様へ商品提供、テーブルの片付け・拭き上げなど、重労働なのでスタッフからあまり好まれる仕事ではないですが、率先して汗をかきながらがんばってくれています。頭も良いですし、やる気もあるので助かっています。
言葉で苦労することはありますが、簡単な日本語を使用したりジェスチャーを交えたり意志の伝え方に工夫はしています。困ったときには、スマートフォンの翻訳アプリを利用します。
これから期待すること
自分のお父さんのように立派な人間になりたい、自分の力で歩いて人生を送りたい、自分を誇りに思えるような人間になりたいという志の高い子で、いずれはバングラデシュでレストランをやりたいようです。異国からこの町に来て、学校に友達はいるかもしれませんが一人ぼっちです。言葉の通じない国でのアルバイトは本当に大変だと思いますが、どんな仕事でも覚えたがりますし、明るくて飲み込みが早い。すごくハートの強い子だと思います。
これからも、もっと色々な業務に挑戦してもらって、飲食店の楽しさが伝わるとうれしいです。
受け入れの課題
日本人には言葉で伝えているお店でのルールは、アルバイトの受け入れが決まってから、A4サイズ4枚ほどのマニュアルを作成し、漢字にはふりがなを付け渡しました。苦労はしましたが、どのように書いたら相手に伝わるかを考えることで、自分の勉強にもなりました。
昔と違い、日本人でも見て覚えろという教育は通用しません。一緒に仕事しながら教えてあげることが必要です。言葉の問題はあるかもしれませんが、ハイダルさんは日本人スタッフと変わらない活躍をしてくれています。今後も受け入れの話を頂けるのであれば、ぜひ手を挙げたいと思います。
【留学生の声】
インタビュー
ハイダル アリ(24)
出身国:バングラデシュ
<趣味、特技>
趣味はサッカーをすることと観ることです。日本でもときどき友達とします。
<好きな食べ物>
日本のジュースが好きです。
<どんな仕事をしているか>
テーブル掃除、炭の準備、飲み物や肉を持って行ってお客さんに説明します。時々肉の切り方を習っています。
<苦労すること、失敗したこと>
大変なことより楽しいことが多いです。
<働いていて楽しいこと>
みんなとても親切です。スタッフの人たちと話すのも楽しい。色々なことを教えてくれます。
<実際に住んでみて中標津はどんな町>
バングラデシュはすごくうるさいです。中標津は静かで緑がとても多いキレイなところです。
<将来の目標>
大学に進学します。大学を卒業したらバングラデシュに帰って良い会社に入って働きたいです。
焼肉 ジュージュー
【留学生の声】
インタビュー
シアム ユースフ カン(21)
出身国:バングラデシュ
<趣味、特技>
趣味はサッカーと旅行です。
<好きな食べ物>
ビビンバが好きです。
<日本語を学ぶ理由>
日本の大学で勉強して、日本の会社で働きたいからです。
<どんな仕事をしているか>
サービス、洗い物、ときどき肉も切ります。肉を運んだりドリンクを運んだり。最初は長い時間立っているのが大変でした。
<中標津はどんな町>
中標津は静かな町です。住みやすいと思います。東武でマクドナルドを食べます。食べるのが好きです。
<日本に来て楽しかったこと>
日本人と話すのが楽しい。新しい言葉を知ります。焼肉ジュージューで友達もできました。
インタビュー
アーメド マザール(20)
出身国:バングラデシュ
<趣味、特技>
趣味はビリヤードです。バングラデシュで良くやっていました。特技はスヌーカーです。
<好きな食べ物>
一番好きなのはバングラデシュのカレーです。日本では焼き肉。カルビ、ジンギスカン、サガリを食べました。ぜんぶおいしかったです。
<日本語を学ぶ理由>
日本の生活と日本人と話すことが好き。日本語学校を卒業したら専門学校で勉強したい。日本の会社で働きたいです。
<どんな仕事をしているか>
サービス、洗い物、炭を持って運びます。ときどき肉も切ります。
<苦労すること、失敗したこと>
炭を運ぶときがとても熱いです。
<働いていて楽しいこと>
肉を切るのが楽しいです。バングラデシュでは切ったことがないので。
スタッフ、社長さんもみんな優しい。
<好きなお店、好きな場所>
中標津は緑が多くて、とても静かな町です。フクハラや東武でよく買い物をします。
先生たちと野付に行ったのが楽しかったです。海が見えました。ネイチャーセンターでアイスクリームを食べてとても楽しかった。はやく日本の若い友達が欲しいです。
焼肉 青龍苑
【留学生の声】
インタビュー
シャミム エムディ アブドル アジズ(27)
出身国:バングラデシュ
<趣味、特技>
サッカーすることと、映画を観ることです。
<どんな仕事をしているか>
注文を取ったり、洗い物をしています。
<苦労すること、失敗したこと>
ときどきわからない日本語があります。
<楽しいこと>
スタッフとお話をする時が楽しいです。
<中標津はどんな町>
バングラデシュは賑やかだけど、中標津は静かで寂しい。
<好きなお店、好きな場所>
あるるが好きです。野菜や食べ物を買っています。
<将来の目標>
日本の大学に進学して、日本の会社で働きたいです。
らーめん さんぱち
【雇用主の声】
インタビュー:店長 片岡 健太(かたおか けんた)
どのような仕事をしていますか
6月末からシャハダットアブさんに働いてもらっています。仕事内容は日本人スタッフと同じように、オーダー取り、皿洗い、サイドメニューを作ったり、ご飯の盛りつけ、お客様にラーメンを運んでもらいます。うちはオーダーを取るに話すこと、書くことも必要ですし、メニューを読めなければなりません。面接で、あまり日本語ができないようであればお断りしようと考えていましたが、これなら大丈夫そうかなと思い採用しました。実際働いてみると、言葉での苦労はすごく多いです。
シャハダットアブさんはイスラム教徒なので豚肉を食べません。ラーメンは豚骨やチャーシューを使用しますし、チャーハンもラードを使用するので賄いに困ります。
採用後の変化
夕方の時間帯が求人採用できていなかったので、助かっています。当初よりは日本語も上達しました。
日本人を採用した場合には、マニュアルを手渡し読んでもらうことで仕事を理解してもらいます。外国人だと難しいと思います。伝わる言葉を使用しながら教えることで、自分たちの教え方を見直すきっかけになりました。
今後も日本人スタッフと同じように、レジの対応など、パートさんにやってもらっている仕事ができるようになってもらいたいと思います。
(取材/2022年8月23日)
【留学生の声】
インタビュー
シャハダット アブ(24)
出身国:バングラデシュ
<趣味、特技>
クリケットです。バングラデシュでは一週間に5回くらい友達としていました。日本ではクリケットをしている人や道具がないのでしていません。サッカーもときどき友達とします。
<好きな食べ物>
日本の天ぷらやお菓子が好きです。
<日本語を学ぶ理由>
日本で勉強して良い会社に入りたいです。
<どんな仕事をしているか>
注文を取って、メモを日本語で書きます。ときどきサイドメニューも作ります。
<苦労すること、失敗したこと>
日本の食べ物、読み方、書き方がわからないので最初は大変でした。今は大丈夫です。バングラデシュでは座って仕事をしていましたが、ずっと立っている仕事なので腰が痛いです。
<働いていて楽しいこと>
間違うことが心配ですが、うまくいくと楽しいです。店長と間違った時は自分で考えようと話をしました。わからないことは紙に書くようにしています。
<将来の目標>
将来は車関係の仕事がしたいです。
炭火焼肉 雅々
【雇用主の声】
インタビュー:代表取締役社長 菊池 憲一郎(きくち けんいちろう)
どのような仕事をしていますか
6月から2名の学生をアルバイトで採用しました。ホールの仕事を担当しています。オーダーは、お客様がタブレットに入力するシステム。オーダー頂いた商品をお客様に運び、配膳や片付けもお願いしています。お客様から直接オーダーを取ることがないので、その点は外国人でも働きやすいと思います。
難しい日本語はわからないことがありますが、簡単な言葉で会話ができるので、コミュニケーションをとることはできます。わかる言葉を選ぶ必要はありますが、仕事の指示も理解してくれます。
学生とのコミュニケーション
日本語を学びにきている学生さんなので、コミュニケーションを取りながら、自分たちも日本語を覚えるお手伝いができたら良いと思います。
ある日、「日本人の友達を作りたい」って言われたことがありました。サディ君はサッカーが好きなので、サッカーチームを紹介して欲しい。知り合いの先輩に連絡し、同世代の子が活動しているフットサルチームを紹介してもらいました。まだ日本での学生生活は始まったばかりです。アルバイトで働いてもらうだけではなく、町の企業人としてこれからもお手伝いができればうれしいです。
この町には何もないと言われたこともありました。中標津町でどう楽しんでもらうかと考えることもあります。この町を楽しめる、町とつながるきっかけをつくってあげたいです。
(取材/2022年8月6日)
【留学生の声】
インタビュー
シュボ アブドゥル ラザック(23)
出身国:バングラデシュ
<趣味、特技>
趣味は車を運転することです。日本のライセンスがないので日本では運転していません。特技はクリケットです。バングラデシュではクリケットやサッカーがとても有名です。
<日本語を学ぶ理由>
日本語学校で勉強して自動車の大学に行きたい。日本の会社で働きたいです。
<どんな仕事をしているか>
お客さんにサービスやテーブル掃除をしています。
<苦労すること、失敗したこと>
忙しい時は大変です。わからない時は社長に聞きます。肉に詳しくなりました。
<実際に住んでみて中標津はどんな町>
日本はとても静かです。バングラデシュは車のクラクションがうるさい。中標津は人が少ないですが、緑が多いので好きです。
<将来の目標>
日本の有名な自動車の学校に入って日本の車の会社で働きたいです。
インタビュー
ラフマン エムディ サデクル(22)
出身国:バングラデシュ
<趣味、特技>
サッカーをすることです。日本の友達とサッカーをすることもあります。友達もたくさんできました。
<どんな仕事をしているか>
肉を運んだり、飲み物を運んだり、テーブルを掃除します。
<中標津はどんな町>
中標津は静かな町。
<将来の目標>
大学で勉強したいです。ITの会社で働きたい。