ウィズコロナ ─ 医療・介護・子育ての現場から③
お子さまをいかに安心して預けてもらうかを考えて

ウィズコロナ ─ 医療・介護・子育ての現場から③<br>お子さまをいかに安心して預けてもらうかを考えて

ウィズコロナ ─ 医療・介護・子育ての現場から③
他に類を見ないレベルの感染症の蔓延の中とられた対策とは

お子さまをいかに安心して預けてもらうかを考えて

コロナ渦でも、子供の預け先がない働くお母さんのために、子供たちと職員の安全を考えながら、手探りで感染対策をおこないながら、受け入れをおこなっていた。

【取材】学校法人 中標津ひかり学園 理事長
篠永 正男(しのなが まさお)


お子さまを預かる必要性

 緊急事態宣言中でも働いているお母さんが多いので、保育園の機能を合わせ持った認定こども園では、内閣府からの要請もあり、どうしてもお子さまを預けなければいけない方のために、また預け先がなくて困っている方のために自粛期間中も一部のお子さまたちをお預かりしていました。

保育士はいつどこで感染するかわからない非常に不安のある状況の中で、大切なお子さまを預からなければいけません。また、お子さまを預けている親御さんにしてみると、園に預けることも不安だったと思います。双方が不安の中にありました。

 管内では、まだ感染者が出ていませんが、まだ初期の頃は感染者の出ている地域と条件は同じだったと思っています。いつどこでだれが感染するかわからない。札幌のように感染者が出ている地域では、完全に園を休みにしているところもありました。もしクラスターになってしまったら園は閉鎖しなければいけませんので、当然だったと思います。

 中標津では、常に4つの認定こども園の各園長先生が集まって、予防対策はどうしていくべきか、必要以上に集まらないようにしながらお子さまを預かるにはどうするのかを最低限決めながら受け入れを行なっていました。

 スーパーなどの店舗でもあまり客が来なくて困るのかなと思ったら、逆に忙しいことになり、私たちの業種や病院などと同じように、不特定多数の人が来る中で働かなければいけませんし、同時に感染対策も行わなければなりませんでした。非常に大変だったと思います。園では、そういったところで働くパートさんのお子さまを多く預かっています。お子さまを預からないという選択肢はありませんでした。ただ、心理的にやはり施設に預けて感染するのは困るという方もいらっしゃいましたので、そういう方は自主的に休まれていました。

 何せマニュアルが存在しない中で、職員の配置をどうするのか、子供たちをどういう形で預かり、過ごさせればいいのか、パートの方の扱いをどうしたらいいのか、全て手探りでした。


法人としての認定こども園

 今、一番大切なのは職員の確保です。このような事態の時にいかに園で貢献してくれている職員を守り切るかが大切です。それは他の職業でも同じだったと思います。

 今回の新型コロナウイルスの感染拡大にあたって幸いだったのは、中標津町の幼稚園が認定こども園になり、昨年の10月に無償化になったことで、在籍の保育士など職員のための費用が国から満額支払われていることです。

 数年前の認可されていなかった頃であれば、今回のような事態になった場合、長期に渡ってお子さまを預からない状態が続くと、その分の費用は支払われないことになります。しかし、その間の給与は支払わなければいけません。経営的に非常に厳しくなるところでした。


いつもと違う園児募集

 そのような中、園児募集の大切な時期を迎えます。10月15日に願書の受付を行いますが、ソーシャルディスタンスを保たなければいけないので、次年度の園児募集のため、人を集めて説明会を行うのが難しい状況です。

 基本的に園児は年中募集しています。満3歳児は誕生日を迎えた日の翌月より無料でご利用いただくことができます。満3歳を迎える前から認定こども園を利用していただくことは可能ですが、その場合は有償となります。ご家庭によって有償でも入園したいのか、無償になってから入園したいのか違うと思いますので、随時受付を行っています。もちろんお申し込みされてすぐに入園できるわけではないので、早めのご予約をお願いしています。詳細は各園にお問い合わせください。

 まだ入園していないお子さまに実際に1〜2時間体験してもらう「ふれあい広場」という園の開放日を設けています。それが今年は新型コロナウイルスの影響でほとんどおこなっていません。最近は少しずつですができるようになってきましたので、親御さんに幼稚園と保育園の違い、認定こども園とはどういったものなのかを理解していただくための場を設けることができるようになってきました。

 中標津町の認定こども園は、保育園の機能と学校教育である幼稚園の機能が一体となっている施設ですので、子育て支援の一環として満2歳児より利用が可能となっています。ただ、利用定員があるので早めにご予約していただきたいのですが、認定こども園に関する周知が不十分だと思っています。各園は2年前に認定こども園になったばかりですので、まだ幼稚園との違いをご理解いただくのが難しい部分もあると思います。


幼稚園行事は教育の一環として

 中標津町は小中学校の運動会を中止することで決まりました。各学校で対応が少し違ったようですが形を変えておこなったようです。

 私たち認定こども園でも子供たちの体育教育の一環として、例年通りの運動会はできなくても、学びの場のひとつとして行うべきと各園同じ見解だったので「運動会」という言葉を使わず「運動参観日」として、子どもたちが運動をして楽しんでいるところを見てもらう形で規模を縮小して行いました。

 みんなで園に宿泊するお泊まり会もできないということで、今年は宿泊なしで「夕涼み会」という形でおこないました。本来であれば、親元を離れひとりで一晩泊まることが成長に非常に重要なのですが、宿泊がないということで、夕方集まって衛生面に注意しながら職員が作ったカレーをみんなで食べて、花火を見て終わりにしました。肝試しをした園もあったようです。

 これから発表会も例年であればおこなわれるのですが、現在どうするべきかを協議しているところです。

 4つの認定こども園で組織する中標津町私立幼稚園協議会では、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う中標津町のご支援に感謝申し上げると共に、今後も中標津町の子供どもたちの将来のため、保育・幼児教育に力を注ぎ、歩んでいきたいと思います。