目玉商品があることが
いかに重要かを再認識。
新型コロナウイルスの影響で、観光客が激減する中、
近年、改めて地元客を大切にすることを考えてきたからこそ
目玉商品とテイクアウトの普及で堪えてこられた1年だった。
インタビュー:山田 君勝(やまだ きみかつ)
ポークチャップの店 ロマン
例年と比較してコロナの影響はどれほどのものでしたか
北海道に緊急事態宣言が出て、早い段階から飲み屋さんなどで売り上げが落ちたと耳にしていましたが、その時はまだそんなに売り上げは落ちてなかったと思います。売り上げが落ちはじめたのは3月くらいからでしょうか。本格的に感染拡大してきた頃には目に見えて来客が減ってきました。それでも他の飲食店に比べるとそこまでではなかったと思います。
5月は前年比で44%減。ほかの月はそこまで落ちませんでした。お店で食べて帰られるお客さまは減ったのですが、テイクアウトのお客さまが増えてきたのもあり、6月で20%減。7月~8月は10数%減くらいです。休業はしなかったので、売り上げは大きく落ち込みましたが、持続化給付金の対象である50%以上の減になりませんでした。20%減であれば3年間無利子で融資を受けられるということでしたので。さすがに新規で借り入れをしましたが、借り入れした分にはほとんど手をつけずになんとか乗り切ってきました。
うちはゴールデンウィークから夏場にかけて観光客が多く来店します。新型コロナウイルスの感染拡大で他地域への往来の自粛が呼びかけられていた中、人数は減ってはいましたが、観光客の来店はありました。来店してくださるのは生活もありますしありがたい話なのですが、状況を考えるとあまりきて欲しくはないという複雑な心境でした。車やバイクのナンバーでしか判断できませんが、道内が多かったように思います。それと東京近辺。若い男性が1人で来る割合が多かったです。マスクもしないでくるお客さまもいるので、正直心配でしたし怖かったです。
GoToトラベルによる直接的な影響はそんなになかったと思います。しかし今はGoToトラベルが止まっています。北海道に来る人や道内での移動自体が減っていると思うので、今も続いていれば少しは違ったかなと思います。これでまた緊急事態宣言でも発令されればどのようなことになるのかわかりません。
どうやってこの1年乗り越えてこられましたか
ゴールデンウィークあたりから、お店の席数を減らしてテーブルの間も通常より広くしました。また、8月のお盆休み時期は本来書き入れ時ですが、さすがにお店での飲食は止めてテイクアウトのみで営業しました。その分売り上げは落ちてしまいました。
テイクアウトは前からおこなっていましたが、知らない方がまだまだ多い状態だったので、今回の件で周知することができたかなと思います。
その周知が効いて利用する方が増えたのだと思います。昨年の年間トータルで見ると、売り上げの1割以上がテイクアウトです。
12月の話をすると、例年の約2倍の売り上げになりました。12月19日から29日のテイクアウトの売り上げだけで月の売り上げの約半分です。また、別海町で発行したプレミアム商品券の利用がとても多く、テイクアウトで利用されたお客さまが多かったです。プレミアム商品券の利用開始が8月20日からで、昨年はそれが非常に売り上げに貢献してくれたと思います。
プレミアム商品券の利用期間が終わったからなのか、昨年末にまた感染が拡大してきたからなのかははっきりいえませんが、1月はまた落ち込んでいます。1日の来客が1人、2人という日もありました。昔と違って今は週末もそんなにお客さまが来ないですし、もともとうちの店は冬場暇になります。割と好調だったテイクアウトも減ってしまいました。
昨年は、テイクアウトをしているお店を掲載したチラシを作って町民に周知したりと、商工会が一生懸命やってくれました。また、料飲店組合で町になんとかして欲しいと陳情を出しました。そのときにはすでに検討されていたのだと思いますが、別海町からは応援金という形での補助がありました。これはなかなか算出が難しいものでした。前年の3月の粗利と比べて3月の粗利が何%落ちたかで、給付金額が決まるというものです。給付額は減った額の3分の1だったと思います。その後、前年5月の売り上げが20%以上の減少で、上限を25万円として減少した額の2分の1補助されるものになりました。それでも売り上げが落ちている中での補助なので助かりましたし、財政的にも厳しい中でよく対応してくれたと思います。
今また町から12月と1月の売り上げがどうだったか、人数はどのくらい減っているかのアンケートが来ています。前回と同じような内容だったので、また検討しているのかもしれません。
コロナ禍がまだ続きそうな中思うことはありますか
売り上げがそこまで落ちずになんとか乗り越えてこれたのは、ポークチャップという目玉商品があるからなのかなと思います。昨年はつくづく目玉商品があってよかった、特徴のある店でよかったと思いました。
また、地元を大切にしなければいけないと改めて思いました。そして目玉商品であるポークチャップ。これも大切にしなければいけないと思います。
人口が少ない上、都会のように密集することがなく、近い距離での接触が少ないないということもありますが、根室管内で感染が拡大していないのは、ひとりひとりがしっかり対策をとっているからでしょう。