「オレたちは負けない」
攻めの出店、その理由
飲食店にとって厳しい状況が続くなか、多国籍料理 呑食里を経営し、昨年11月には牛タンと酎ハイの専門店ベロチューをオープンさせた食彩倶楽部。コロナ禍で戦う飲食店の今。
インタビュー:江西 浩太郎(えにし こうたろう)
有限会社 食彩倶楽部 代表取締役
コロナによる影響はありましたか
緊急事態宣言後は客足が鈍くなり、いち早くテイクアウトを始めましたが、毎日お店を開けていてもお客様が来ないというストレスもあり、4月13日から1ヶ月ほど休業しました。5、6月は売り上げが前年度の7割減と休業明けも厳しい状況でしたが、7月からようやくお客様が戻ってきたという感じでした。
年末に感染が再拡大した影響もあり12月は前年の4割減と、再び厳しい状況に陥りました。年明けも1月2日から営業しましたが、例年ですと忙しいはずのお正月が今年は本当に暇でした。
安全対策はどのように取り組んでいますか
お店としても基本対策はとっていますが、今はお客様の安全対策、危機管理能力が皆さん非常に長けているので、助かっています。食べるときはマスクを外し、しゃべるときはマスクをつけるというような食事の仕方は、やっぱり楽しくないです。それでもお店に来てくださいという無理強いはしたくありません。だったら、テイクアウトやデリバリーのみの営業にするなど、営業スタイルの変更が必要になります。
周りの目を気にしながら外食するくらいなら、お宅に食事を届けるので、家で安心できる家族と楽しくしゃべりながら、食べてくれた方が提供する側として作った甲斐があると思います。
2月2日からランチ営業とデリバリーを開始しますが、ランチ営業は状況次第で止めなければいけなくなるかもしれません。デリバリーは新しい事業として取り組んでいきたいと思います。
ベロチューのオープンは、なぜこのタイミング
ベロチューは、コロナの影響がない一昨年くらいから企画はしていたのですが、昨年の休業中の時間で準備もできましたし、自分のチャレンジ精神と向き合う時間もできました。新型コロナウイルスの出現という、誰も予想ができなかった未曾有の事態は、良くも悪くも世界の生きるという価値観や、今までの非常識が常識になったり、概念が変わるのではないかと思います。
それは新しい節目のスタートになるので、新しいもので勝負してみようと考え、11月にオープンしようと決めました。会社の人材が揃って来たということも後押ししてくれました。オープンしましたが、やはりこの状況は厳しいです。でもいつ開けたとしても、想定外のことは訪れると思います。ネガティブに考えるのではなく、こんな時だからやってみようという挑戦する気持ちを持っていた方が、人も成長すると思います。それが会社の成長につながるので、良いタイミングだったのだと思います。
ただ指をくわえて見ているだけではなく、自分たちで新しいものにチャレンジしていく、それが会社を大きくするきっかけになるのかもしれません。
中標津本店とありますが今後の展開はお考えですか
この小さな町の本店から日本のみならず、世界に進出できればという野望はあります。道産の食材を使ったり、地元の特産物や商品とコラボしてメニューを作っているので、今後2号店、3号店と広げていくことで中標津町という名前を広めていくということがやりたいことでもあります。若手を常に頭に据えて、リーダーを育てられるような会社を作っていきたいと思います。
デリバリーはどのような形態になりますか
まずは中標津町内のみで、町外の方も相談に応じますが、配達料は町内一律500円で考えています。
呑食里とベロチューだからこそできる、例えば海老しゃぶに厚切り牛タン、さらにお寿司まで付いた宴会セットメニューがあったり、チーズタッカルビがあって、牛タンのステーキと牛タンのカツに、お刺身など、他では味わえない組み合わせで提供できたらと考えています。
デリバリーはコロナだからという一過性のものではなく、事業としてしっかりと取り組んでいきたいです。
この先の見通しはどのようにお考えですか
コロナ禍で生活様式が変わり、それは元の戻らないかもしれませんが、飲食業がなくなるとは思いません。お客様に選ばれることのない飲食店は淘汰されてしまいますし、自分たちの強みを生かし、選ばれ続けるお店にしていかなければなりません。選ばれるには魅力のあるお店作り、スタッフを育てお客様とのつながりを重視していかなければならないと考えています。
いつになるかはわかりませんが、お客様は必ず戻ってくると信じています。食べたい人、飲みたい人、戻ってきたときにその気持ちを離さない店づくりを今から準備してやっていくしかありません。習慣の変化により外出が減るかもしれませんが、そこはデリバリーでカバーしていきます。
店で食べるクオリティーのものがお家でも食べられる。そのクオリティーやサービスを怠らないで、同じペースで作れるようにしていかなければいけませんし、そこをこれからどこまで突き詰めていけるかというところが課題です。