この地域を襲う物価高騰の波|いつまで続く「ウッドショック」木材価格高騰の原因とは。

この地域を襲う物価高騰の波|いつまで続く「ウッドショック」木材価格高騰の原因とは。

ウッドショックと呼ばれる、世界的な木材価格高騰、供給量の不足。なぜ、このようなことが起こったのか。

インタビュー:端 雄一朗(はた ゆういちろう)
株式会社ハタ建材 代表取締役

物価高騰による影響

 取り扱う商品ほとんどのものが値上がりしています。日本に影響が出てきたのは、昨年の春頃から。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、ロックダウンなどもあり、世界経済は低迷しましたが、経済活動再開後は反動で一気に建材の需要が増えました。

 アメリカでは超低金利政策により住宅の需要が高まり、リモートワークや在宅勤務が増えたことで、企業の郊外移転や郊外での住宅建築が増えました。中国でも好景気による住宅建築ラッシュとなったことで、住宅用木材の需要が高まり、木材の価格が高騰するウッドショックが起こりました。

 巣ごもり消費の増加により、海外輸送を行うコンテナが不足に陥り、海上輸送費が高騰。2021年3月にスエズ運河コンテナ船座礁事故による流通の停滞も大きな影響が及びました。

 欧米の木材輸出業者にとって日本は面倒な市場です。輸入材に対する基準が厳しいのに、価格は相対的に安い。今までは安定した供給が見込めたため、日本向けに高いグレードを設けて優先的に対応してくれましたが、アメリカ、中国の需要の高まりで、日本市場を敬遠する動きが見られます。

国産材での対応

 国内で建築に使われている製材用材の自給率は約51%、合板用材の自給率は約45%です。国産材は強度が弱く、梁や柱材は、ほとんど輸入材が使用されています。ウッドショックを機に、国産木材の活用が見直されていますが、林業の慢性的な人手不足、今後木材輸入が通常に戻れば価格的にも企業は輸入材を使用するなど、投資をしてもリスクが大きいので、国産材への置き換えは難しいと思います。

今後の見通し

 アメリカでの需要は落ち着きを見せていますが、中国はまだ勢いがあります。日本ではロシアから木材を直接取引することは少ないですが、ヨーロッパではロシアから原木を仕入れ加工し日本に輸出しています。ウクライナでは半導体の工場や物流の停止を余儀なくされ、レンジフード、IHヒーター、食洗機などの納品が滞っています。ロシアによるウクライナ侵攻もいつ落ち着くかは誰もわからないことなので、今後の予測は非常に難しいです。

 世界規模の問題などで、弊社のような販売店や問屋レベルでは予想が及ぶところではありません。

(取材/2022年8月23日)