「みるふちゃん工房」 計根別という地域のブランド化へ

「みるふちゃん工房」 計根別という地域のブランド化へ

商品開発で地域おこしにつながる取り組み

インタビュー:久保 拡伸(くぼ ひろのぶ)
久保牧場


計根別農協所属の酪農家5人が2019年6月計根別市街地に「みるふちゃん工房」を開設した。

町の新たな特産品として牛乳豆腐「けねべつ みるふちゃん」を商品化。生乳を使用した豆腐とチーズの中間のような新しい牛乳の食べ方を提案している。

計根別という地域の名がついた商品を通じて地域を盛り上げたいという工房の思いを代表である久保拡伸氏に聞いた。


商品化のきっかけ

 計根別という名前がついた商品が何もなかったので、それを作りたかったというのが始まりでした。商品開発は計根別農協青年部に所属している2名、女性部に所属している2名と自分とで5年前からスタートしました。もともと牛乳豆腐を商品化できないかと個人的に考えてはいました。

 6年前に計根別で撮影された映画があり、内容は都会のデザイナーさんが計根別のゆるキャラを作って帰っていくというような話です。その映画には牛乳豆腐をモチーフにしたゆるキャラが登場するのですが、そのキャラクターを一般の方から募集しました。そこで決まったのが牛乳豆腐の妖精みるふちゃんでした。

 その映画をきっかけに商品化への取り組みが始まりました。牛乳豆腐は集荷されずに捨てられる初乳を使って、酢で固めて食べる酪農家の家庭ではおなじみのメニューではあるのですが、分娩5日以内の初乳の出荷は日本では認められていないので生乳を使っての商品化となります。まずはレシピ作りから始めました。商品開発にあたり牛乳豆腐は各家庭、人それぞれ、作り方・味・好みがみんな違うということをやってみて初めて知りました。

 そういった中で2年くらい試行錯誤し話し合い、試作を重ね、結果今のかたちに落ち着きました。


販売までの道のり

 初乳を使っているものと生乳を使っているものとでは味が全然違います。なるべく牛乳の味を感じられるように酢の量をギリギリにして水分を抜き自然に落ちる程度にしています。熱を加えるとモチモチしてモッツァレラチーズの溶ける手前みたいな感じになり牛乳と酢の香りが広がりとても美味しいです。

 商品のレシピが完成した後は場所をどうするかという問題が出てきました。一からどこかに建てようとすると莫大な費用がかかってしまいます。中標津の企業に委託して生産してもらうという話もあったのですが管理をして輸送するという手段がなく、計根別に工場を作るしかないという決断に至りました。

 今の場所は飲食店として使われていたこともあり、工房をつくる条件としては非常に良かったです。壁・天井・床はリフォームして腰から下は防水加工でカビが生えないように鉄板にし、機材は中古のものを使用してできるだけ安く抑えました。事業として始めたのでその費用に補助金などは使えず5人で出資をし、私が経営している久保農場の一部門として工房を運営しています。

 今はAコープけねべつと根室中標津空港のみで販売しています。本業は酪農なので電話での予約注文などの事務的な対応は自分だけではできません。販売元は中標津の近藤商店さんにお願いして予約注文の受け付けなどをしてもらっています。

 今はプレーンのみの提供ですが、4月くらいから味が違うものも何種類か出したいと思っています。レモン、梅味、昆布を使ったもの、塩漬け、燻製などを計画しています。


地元から発信し広げていく

 今年も出店が決まっているイベントがあるのでそういったところで提供するみるふちゃんを使用したメニューも作っていきたいです。

 中標津の飲食店さんで河亭さんのエビチリや、炙りや達磨さんのカレー鍋に使用してくれたりと少しづつ使ってもらえるお店も出てきました。

 まずは地元の人に知ってもらうことが第一で、それから町外、道外などたくさんの人にみるふちゃんを通して計根別という地域を知ってもらえるとうれしいです。そのためにもまだまだ商品の質を上げてみなさんに喜んでいただけるようにしていきたいと思います。


【商品お問い合わせ】
近藤商店
☎︎0153-72-0303
標津郡中標津町東1条北1丁目7