シリーズ 将来を見る中標津町介護保険事業者協議会「住暮楽夢」設立からのその後

シリーズ 将来を見る中標津町介護保険事業者協議会「住暮楽夢」設立からのその後

シリーズ 将来を見る 介護業界の人材不足を見据えて

中標津町介護保険事業者協議会「住暮楽夢」設立からのその後

設立から一年を迎えようとする中標津町介護保険事業者協議会、その活動から得たものは。

犬伏 善則(いぬぶせ よしのり)
協議会事務局 事務局長/社会福祉法人 中標津朋友会/中標津りんどう園 施設長

滝沢 薫(たきざわ かおる)
運営委員会 副委員長/ハートケアゆとり訪問介護事業所 所長

小泉 裕之(こいずみ ひろゆき)
運営委員会 委員長/医療法人樹恵会 石田病院 事務長


小泉 介護保険ができた当初は、介護従事者になりたいという人が多くいました。しかし、今ではとても人材が少ない業種になってしまっています。

 そのため人員が足りないために受け入れできないところも多く、施設に入ることができない待機者が100人単位で居るという問題がありました。各事業所それぞれが存続し運営できるように、そして、そういった問題を解決していく必要があるので在宅から施設まで介護事業者全体で集まって取り組んでいかなければいけないと協議会が設立されました。

犬伏 一度、各事業所から69名が集まって事故防止対策研修会を行いました。ディスカッションを行ったり、お互いの施設の悩みなどを出し合ってリスクマネジメントに関する話をしたのですが、今までよりも相談し会える関係になりましたし、共通の事故防止における悩みを共有できたりと顔の見える関係になったと思います。

 今までは事業所単位で勉強会を行ったりしていましたが、現場の職員同士が顔を合わせ言葉を交わすことができましたし、それぞれの事業所で抱えている悩みは違うので、情報を提供し合い共有して一緒に考えることができるようになっただけでも、随分前に進んだ感じがします。

滝沢 在宅の場合、ケアマネジャーとデイサービスや訪問介護事業所とは必ずお付き合いがあるのですが、ヘルパーステーション同士はほとんど行き来がないので、在宅専門委員会で集まり話し合ったときに、「こういうときはどうしているの?」「うちは今までこうやってきたけど、こういうやりかたがあるんだね」などの情報共有ができてよかったと現場の方々も言っていましたね。

小泉 事業所間で情報交換がしやすくなったのは随分違うと思います。今までは他の事業所の方と話をすることに躊躇することもあったのですが、協議会が立ち上がり、皆さん参画しているので、情報交換がしやすくなったというのは助かりますね。

 また、初任者研修に町の方で予算付をしてくれても、旗振り役がいないために今までは参加する人も少ないのが現状でした。人材確保委員会で初任者研修の案内を積極的にPRをおこなったことで、当初3〜4名の参加だったものが定員の20名にまで増えたのは活動の成果ですね。

犬伏 経営者向け研修会、従業員向け研修会を1月に2日間に渡って札幌から講師の方をお呼びして行いました。その際も多くの方が参加して下さいました。

 事業所が沢山あって、人数が少ない中で経営しているところも沢山ありますので、今まで中々研修会を行うことができなかったところもあったと思います。協議会が設立されてからは、共同でできるようになったので、今まで研修会を行っていた事業所にとっても様々な意見を聞くことができますし、できなかったところにとってもそういった場ができたというのは大きいと思います。

小泉 従業員向けの研修は、今までも事業所単位でおこなっていましたが、経営者・管理者向けの研修はなかなか行われませんでした。

 各団体等で実施している離職した方のアンケートを見ると、事業所側に問題があることが多く、人間関係がよくないとかいう前に、まずは事業所の問題を解決した方が良いのではないかという提案があり、研修会を行いました。

 事業主がきちんと介護を解釈して飲み込んでやっていかないといけないと思います。それがあって初めて介護者の様々なスキルの勉強会や介護に関して理解してもらうことになるのかなと思います。

小泉 今のところまだ成功も失敗も判断できるような段階ではなく、まずはやってみようと言う段階です。

 組織構成も複雑ではないか、変えたほうがいいのではないかという意見もあります。しかし、1年2年まずモデルケースとしてやっていって、よくないところは変えていけばいいと考えています。

 すでに組織としてはわかりにくいと言う意見があるので、それも一つ前進だと思います。今の組織構成がなければ正しいのかダメだったの判断もできないので、すごく頭を悩ませて今の組織のベースを考えてくれた人たちには、感謝しています。

 まずは、スタートしてから事業所間の垣根がなくなり、お互い顔を知ることができて、声をかけあえるようになっただけでもまずはよかったと思いますし、研修会にも人を集めることができてよかったと思います。

犬伏 介護職員の仕事をフォローする介護助手という仕事があるのですが、各事業所共同で2月13日に合同イベントを行います。イベントで使用するのに写真を撮りたいということを利用者さんの家族に伝えたら、協議会のことを知ってくださっている方が結構いて、町民の皆さんにも結構浸透しているのかなと感じました。

小泉 丸山小学校に訪問して、認知症サポーター養成講座を5年生を対象に行ったところ、小学生なりにいろいろな意見が出てきました。やはり認知症の問題は地域住民みんなで考えていくことが大切で取り組んでいかなければいけないのは確かなのですが、やはり小・中学生にも意識を持ってもらうことで、また介護への捉え方が変わってくるのかなと思います。

 この講座は先生方からも好評で、非常によかったという声をいただきました。そういったお手伝いを今後も行なっていければと思います。