別海町ふるさと交流館直営化─その後

別海町ふるさと交流館直営化─その後

遅れたオープンと町民の反応と
さらなるサービス向上のための展望

インタビュー:田畑 直樹(たばた なおき)
別海町役場 産業振興部 商工観光課 課長

岩口 裕昭(いわぐち ひろあき)
別海町役場 産業振興部 商工観光課 主幹

長尾 健汰(ながお けんた)
別海町役場 産業振興部 商工観光課 主事


オープンが当初の予定から延期となりました。

 当初ゴールデンウィーク明けのオープンを予定していたのですが、新型コロナウイルス感染拡大により5月31日までの緊急事態宣言が発令され、予定の5月上旬のオープンは見合わせました。その後さらに6月20日まで延長となったため、人流の抑制という趣旨を踏まえ、さらに延期としました。

 また、その間保健所と許認可の関係でのやり取りがあったのですが、それに関しても若干の遅れがあり、検査項目も確認しなければならなかったので、それをクリアした後の7月1日にオープンしました。

直営になったことで従来から変えたところはありますか?

 直営にしたことによって今まで営業していたレストラン・飲食関係と宿泊についてはストップさせていただき入浴だけのスタートとさせていただいています。

 昨年3月の新年度予算を決める議会において「4月以降当面の間、機器類と施設の修繕に要する期間」としてゴールデンウィーク明けまで休業としていたのですが、4月9日の引き渡しから立ち入り検査や、施設の詳細を確認後、直営に戻ったことでの利用者の満足度を高めるためには、浴槽や浴室、ガラス、施設の衛生面、機器類の改修など必要になってくると判断し、まず入浴に係る部分、浴室やガラスの清掃に予定より時間を費やしたことも延期した理由のひとつです。

 当初見込んでいた機器の改修については、入浴だけを営業するのであれば緊急を要するような改修が必要ないと判断しました。しかし、これまでの管理体制において経費削減のためか電球がないところがあったりしていたので、電気を変えたり、wi-fiを接続したりと、入浴をスタートするために必要最低限のことを1ケ月半ぐらいかけておこないました。また、今までなかったもの、サウナのテレビ設置や壊れていた温度計の交換などはオープンしてから順次進めることにしました。

 ロビー部分には、宿泊をおこなわないので、お客様の待合としての利用や子供向けのゲーム機を置かせていただきました。ゲーム機についても7月のスタートに間に合わなかったのですが、6機置かせていただいて、今後も機会があれば随時増やしていきたいなと考えています。

別海町役場 産業振興部 商工観光課 課長
田畑 直樹
別海町役場 産業振興部 商工観光課 主幹
岩口 裕昭
別海町役場 産業振興部 商工観光課 主事
長尾 健汰

売店なども設置されています

 入浴だけとはいえ、お風呂に入る前やお風呂上がりには軽食や飲み物は必要だろうということで、自動販売機の設置も考えていましたが、せっかくなので別海乳業興社のソフトクリームを売ってほしいですし、キャンプ場も近いので、たまたまキャンプ場に泊まった方が入浴をした際に別海のお土産を買うということも考え第3セクターである別海町観光開発公社にお願いすることになりました。

オープンしてからお客さまからどのような反応がありましたか?

 保健所の許認可の関係と、新型コロナウイルスの感染拡大もあってオープンがずれてしまい7月1日オープンの周知が十分にできていなかったとは思います。ただ常連のお客さまは戻ってきていただいたのもあり、予想を上回る入場者数になっています。

 働いているスタッフが役場の会計年度任用職員2人と、公社のスタッフが6・7人いるのですが、お客様へ「いらっしゃいませ」などの挨拶を徹底したところ、「いままでその言葉をもらったことない」とか「すごくきれいになった」と、直営に戻ったことによって気持ちよく利用ができるというありがたい言葉も結構いただいています。

今後のもっとこうしていきたいと考えていることはありますか?

 この1カ月半ぐらいのデータを見ると入浴者数が曜日によってバラバラなので、今後入浴者数が多い土日と同等程度利用していただけるよう、平準化を図りたいと思っています。オープンして分かったことなのですが、水曜日と金曜日の入浴者数がちょっと少ないんです。そこで7月の中旬ぐらいから、ポイントカードを始めました。お風呂に1回入ることに1ポイントを差し上げて、10ポイントたまると入浴が1回無料になるというものです。曜日によってポイントを倍にしたり、敬老の日に65歳以上の方の入浴には5ポイント、誕生日に入浴に来られた方には10ポイントを差し上げるサービスも行う予定です。

 今のところ入浴者数を増やすためのイベントをおこなうことは考えていないのですが、地域おこし協力隊が8月から地元の野菜の販売をおこなっています。現在は中春別の1人の方が作られた野菜を販売しているのですが、ほかにも参加してもいいと言ってくださっている方が何人かいると聞いています。

オープン後に出てきた課題などはありますか?

 今まで設置されていなかったテレビをサウナに付けたり、砂時計しかなかったのですが新しくサウナ特有の時計を付けようと考えています。ただ後付けになるので、地元業者も試行錯誤でやって下さっています。サウナのテレビは建築当初からあったものではないので、もうすでに出来上がってしまったサウナに後付けのテレビっていうのは技術的にも非常に難しいようです。

 また、何を行うにも賛否両論あるもので、ご意見のある方がそれぞれに一定数あります。早くテレビをつけてほしいという人もいれば、テレビなんかなくても良かったのにっていう人もいたり。

 直営に戻ったことによって地元の業者さんにお願いしたいと考えていますので、業者さんにもとても無理難題をお願いしているところはあります。それを一つひとつクリアしていくことで業者さんの技術も上がっていくということを考えると多少時間はいただいてますけれども、間違いではないかなというふうには考えています。地元の企業も成長していくことで、ふるさと交流館も成長していくということです。

▲サウナに設置されたテレビ

サービスの向上について

 予想以上に本当に多くの人たちに利用していただいていますが、ふるさと交流館が出来た当初は12万人、13万人と入浴者数がいたと聞いています。しかし、昨年は5万人弱ぐらいしか日帰り入浴者数がいなかったという報告がありました。今年度については7月からのスタートになってしまったので、残り9ケ月くらいしかありませんが、単純計算で7月の入浴者数を12でかければ5万5千人を越え、約6万人に届くぐらいになるんじゃないかなとは考えています。ただ全盛期が10万人以上でしたので、もう少しどうすれば入浴者数を増やせるかを考えていかなければいけないと考えてます。

交流館では新型コロナウイルスに対してどのような感染対策をおこなっていますか。

 新型コロナウイルス対策に関しては、北海道から出されている新北海道スタイルにのっとって徹底してやっています。サウナはとても人気で、密になる可能性はありますけれど、今は利用者さんが自分で自己防衛してくれますので、特に問題などは起きていません。

 ふるさと交流館では館内・脱衣所についてはマスク着用をお願いしています。マスクを外さざるを得ないような浴室・サウナ・露天風呂等については、黙浴、サウナについては黙蒸して下さいとアナウンスさせていただいています。

(取材/2021年8月19日)


【お問い合わせ】

別海町ふるさと交流館
電話 0153-75-0711
野付郡別海町別海141番地100
■営業時間 午前11時〜午後21時(受付 午後8時30分まで)
■休館日  毎週月曜日(月曜日が休日の場合は翌火曜日休館)
■入浴料  大 人 510円(中学生以上)
      小 人 200円(小学生)
      幼児 無料