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中標津で野外音楽フェスの開催もコロナ禍による中止。
オンラインライブ生配信と音楽と地域への想いとは。
SHIRUBE 2021にかけた1年半
インタビュー:ワタナベシンゴ
THE BOYS&GIRLS/SHIRUBE制作委員会代表
なぜ集客が難しそうな中標津町で
フェスを開催しようと思ったのでしょうか
中標津出身なのですが、中学校に入ってからいわゆるロックと呼ばれる音楽にのめり込むようになりました。そこからロックに関わらずいろんな音楽を好きになったのですが、高校を卒業するまでライブというものに触れたことは一度もありませんでした。高校卒業して札幌に進出してから、札幌市内にライブハウスがいくつもあったり、RISING SUN ROCK FESTIVAL(ライジングサンロックフェスティバル)やJOIN A LIVE(ジョインアライブ)など、北海道で開催している野外のフェスに行くようになって、生のライブに触れることの良さをずっと感じていました。
今年は自分のバンドが10周年を迎える年です。しかし昨年からのコロナ禍で予定していたツアーやライブが全て中止になってしまい、何かを決めては、中止・延期の発表をすることが続いて気持ちがどんどん落ちてしまい、これが続くとやっていけないだろうなと思いました。自分のモチベーションをアーティストとして保つ必要もありましたし、自分たちで未来にワクワクするものをどんどん作っていかなければ、多分続かないだろうということが漠然と頭の中にありました。
中標津のことも出身地ということもあって個人的にとても気にかけていましたし、地元の学生の若い子たちに音楽好きな子たちが増えて、高校に軽音部できたことも聞いてたので、自分が10代の頃に中標津でこんなイベントがあったらもしかしたらもっと違う人生が存在していたかもしれないと思いました。3回しか中標津でライブをしたことがなかったですし、そういう地元の音楽事情を聞いたことでのワクワクも込めて、中標津でやろうと思い立ったのがきっかけです。
コロナ禍の中で野外音楽フェスというチャレンジ
フェスの規模は空港前の広場(旧滑走路)を使用して、特設のステージを組み、さらに出店ブースも作る予定でした。規模はお客さんの数でいうと、コロナの状況を踏まえて1、500人くらいを目指すことにしていました。
やはり音楽のライブがメインで、中標津に来たことがないアーティストたちを中標津に連れて行きたいという思いが強くあったので、繋がりがあって自分の好きなアーティストでもある人たちに声かけをして自分のバンド以外に8組が出演する予定でした。
さらに、今中標津で生きている10代の子たちと何らかのコラボレーションをすることで何か化学反応を起こしたいという思いもあったので、フェスに賛同して参加してくれるアーティストのライブの中に、学生がステージに立つ時間も入れていこうと思っていました。予定としては全部で9組+中標津中学校の吹奏楽部、中標津高校の軽音部、中標津農業高校の太鼓局に出てもらおうと思っていました。
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地元での自分の認知度がまだまだだったっというのもあり、コロナ禍の中ではありましたが、会える人にはなるべく直接会いに行きつつ、中標津町文化スポーツ振興財団をはじめ多くの方にも協力していただいて周知活動をおこないました。
札幌や岩見沢には大規模のフェスがあります。道東圏に1つ本当に夢みたいなフェスがあったら、中標津だからこそできるフェスを作ることができればいいなと思いましたし、待っていても開催はされないだろうと思いました。そういうチャレンジは自分でしなければと思いフェスの開催に挑みました。
中止の判断のとき
ギリギリまで待ちました。しかし5月の2週目あたりに中止の判断をしました。やはり中標津町内での感染者が増えてしまったことが大きかったです。
1年以上感染者が出ていなかったこともあり、入場者の検温や消毒の徹底はもちろん、会場内エリアを仕切ったりレジャーシートを配ってその上で観てもらうなど様々な感染対策をしっかり行った上でやりたいと、中標津の状況と照らし合わせながら準備を進めていたのですが、さすがに無理だと思いました。
強行すればできたのかもしれませんが、我々のスタッフ陣の共通認識として、誰か1人でも人幸せにならないならやめようという思いがあったので、感染者がでている状況でやっても何にも生まないだろうと思い、判断すべきギリギリの開催1ヶ月前に中止の判断をしました。
開催、中止問わず、スタッフの皆はシンゴがそう言うんだったらそれに全力を注ぐよと言われていました。やりたいことを提案すると、この人にお願いしてみようかと動いてくれたり、逆に提案してきてくれたこともありました。準備を進めていく中でスタッフ全員が同じ方を向いていたと思います。中止の決定も僕がしたのですが、皆がそうしようと、この状況じゃ仕方ないよねと言ってくれました。
オンラインライブで生配信をおこなったとお聞きしました
この1年間本当に今までの人生で感じたことのない気持ちに出会えてきてたので、何としてでも開催したいなっていう思いはもちろんありましたが、開催をしても誰も幸せにすることができないなという気持ちが強くなっていたので、中止を決めた時は割と皆すがすがしかったように感じています。
逆にまだ1ヶ月あるから俺たちなら何かできるんじゃないかという、根拠はないのですが自信があったので、1ヶ月でいいものを考えようとすんなりシフトチェンジできたと思います。
YouTubeを使って生配信という形でライブを開催することになりました。最初はフェスを予定してた会場で僕のバンドと最小人数のスタッフだけ行って、そこから無観客の状態で配信しようかと考えていたのですが、敷地であるゆめの森公園が6月20日まで休園することになったので、それはできなくなりました。でも中標津から配信したいという思いがあったので、しるべっとの大ホールが使えるということでそこから配信しようという話になったのですが、結局しるべっとも休館になってしまったので中標津からやるのは諦めて、札幌から生配信をすることになりました。
出演予定だったアーティストにはSHIRUBEに対してどんなことを思っていたか、何を楽しみにしてたか、中標津のことは知ってましたかなどある程度の質問を投げて、コメント動画を当日の配信の中でオンエアすることになりました。
10分近くある長いコメントやユーモアあるコメントを出演予定のアーティスト皆が寄せてくれました。そのコメント動画の後に、我々THE BOYS&GIRLSで、そのアーティストの曲を1曲カバーして生演奏をする。それの繰り返しで5時間やりました。
たった1ヶ月間でしたが、その期間で準備して、コメントを動画をもらい、配信関係のことは企画の人たちと一緒に努力して準備しました。あっという間の5時間だったし、とても多くの人に見ていただきました。トータルでは1万人くらい、常時800人近くの方に見ていただいて、終わってみてやってよかったなってシンプルに思えました。
YouTubeのチャット欄にもコメントしてくれていて、ライブをしながら皆の応援してくれる気持ちを感じることができましたし、Twitterの北海道のトレンドで1位になりました。サッカーの試合をテレビでやっていたので、さすがにその上にはいけないだろうと思っていましたし、そういうのは初めての経験だったので嬉しかったです。
開催ができなくなったから、その代わりに生配信を行うというよりは、全く新しいもの、いいものを届けたいという気持ちで配信に向かって進んでいたので、純粋に自分たちはすごいことをしたという気持ちになれましたし、もっと多くの人に届けるために、まだできることがあったんだろうなと考えるきっかけにもなりました。無駄なことはひとつもなかったと思えましたし、これからの活動の糧にして活かしていきたいと考えています。
これからの活動について思うこと
今年はフェスが中止になったということもありますし、中標津でのフェスを実現したいという気持ちは途切れてはいません。SHIRUBE2021を大成功だったねっと思えるモノができるという保証はどこにもなかったのですが、たぶん反省点だったり至らない点がすごくあったねときっと終わった後に思ってたと思うんです。そして次に活かす。やってみなければ始まらないし、続けていかなきゃいけないなって漠然と自分の中で何かを始める時は思うようにしているので、今回もし予定通りできたなら、今後も定期的にやっていきたいとも思っていました。
また、コロナ禍の中ではありますが、配信ライブよりはやっぱり生でライブをやりたいです。収容人数も半分、お客さんの間隔あけるように床に目印が貼ってあって、マスクして歓声あげずに見てくださいというとても厳しい制約の中ではありますが、少しずつ有観客ライブも再開しています。
でもその時々に合ったやり方があるとは思っています。いい音楽を届けることができれば、結局方法は選ばないと言ったら変ですが、配信というものの強さはこの1年半ですごぐ感じることができたので、なるべくなら生ライブをやりたいのですが、今のこの状況ではまたやる可能性もあると思いますし、配信だからこそ届けられるものもあると思っています。見る側も直接生で見る方がいいと思っていても、それは未来につながる感情ですし、配信の場合見る場所を選ばなかったり、距離も越えられるので、メリットも沢山あると思っています。
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でもその時々に合ったやり方があるとは思っています。いい音楽を届けることができれば、結局方法は選ばないと言ったら変ですが、配信というものの強さはこの1年半ですごぐ感じることができたので、なるべくなら生ライブをやりたいのですが、今のこの状況ではまたやる可能性もあると思いますし、配信だからこそ届けられるものもあると思っています。見る側も直接生で見る方がいいと思っていても、それは未来につながる感情ですし、配信の場合見る場所を選ばなかったり、距離も越えられるので、メリットも沢山あると思っています。
音楽の演奏だけではなく、今後配信を使って1つのエンターテイメントとして届けるやり方を今後やっていきたいなと思ってます。
(取材/2021年8月20日)