「巣ごもり消費」に対応
地元スーパーの今
巣ごもり需要で全国的に食料品が好調なスーパー。
コロナ禍で変化する消費行動にどのように対応していくのか。
インタビュー:南園 真宏(みなみぞの まさひろ)
東武サウスヒルズ中標津店 財務課長
コロナの影響は?
ニュースや報道でも先行きの見通しがつかない状況なので、お客様も余計なものは買わない、消費は落ちてくると思います。そうなると食材にダブつきが出るので生産者も苦しくなります。
冷凍食品ですとか加工品は賞味期限が長いので問題ないですが、肉や野菜などの生鮮食品は品質の劣化が早く、貯蔵が難しいのであまらせるわけにはいきません。生鮮食品に関しては利益を度外視して販売し、消費を促していかなければいけません。それが生産者を守るために東武ができることだと思います。
どのような対策をしていますか
昨年の7月に「カーピックアップ」という、スマートフォンのアプリを利用して商品注文し、専用駐車場で受け渡しをするというサービスを開始しました。10月にはアプリを利用して注文し、ご自宅に設置したロッカーに届ける「スマホで宅配」サービスも開始しました。同じく10月に道内では最多の16台の無人レジを導入しました。
創業からの歴史の中でも1番忙しい年だったと思いますし、投資をしてチャレンジした年です。どれも事業計画として考えられていたことですが、コロナ禍という中でいっきに進めていきました。
どのサービスも人との接触や密を避けられるので、時代にマッチしたサービスだと思います。無人レジを16台導入したことで、レジ待ちの行列が緩和されましたし、宅配サービスもご好評いただいています。導入したばかりですが投資は間違っていなかったと思います。
これからの展開はどうお考えですか
宅配をスタートしましたが、ピックアップも力を入れて行きたいです。コロナ禍でアメリカの大手スーパーでは、カーピックアップがお店の売上の大半を占めています。感染拡大の状況が日本よりもすごいということもありますが、日本もこれからどうなるかはわかりません。お客様が買い物しやすくなるようネットを整備したり、店内すべての商品から選べるようにするという目標もあります。巣ごもり消費など、消費行動の変化に伴い、ネットでの売上をどう上げていくかが今取り組んでいる課題です。
宅配事業では個人のお客様だけではなく、法人のお客様の利用も増やして行きたいです。コロナ禍で介護施設は面会が規制され、差し入れすることができないので、入居している方の親族から利用したいというお問い合わせも頂きました。忙しく働く職員さんも職場で受け取りたいというお声も頂いています。法人の利用には登録方法やロッカーの設置などネックになることがあります。そこをどう改良していくかという課題もあります。
介護施設の入居者の方はご高齢ですが、親族の方もご高齢ですとスマートフォンが使えないという問題もあります。そういった問題をどうクリアしていくかというところが次のステップです。介護や医療従事者の方は、特に人との接触を避けるよう努力されている方が多いので、そういった方々のお力になれればよいと思います。
今は中標津町内のみの宅配サービスですが、順次エリアを拡大していくことも検討しています。
消費の落ち込みにどのように対応しますか
東武にしかない商品を売り込みファンを拡大していくしかないと思います。NB商品といって通常メーカーの商品は他のお店でも売っています。当たり前ですが、ここにしかない商品はここに買いにくるしかありません。最近はオーガニックや自然食品を求めて来店されるユーザーが増えています。釧路からわざわざお越しいただいているお客様もいらっしゃいます。
そういった商品はバイヤーが全国各地を飛び回り仕入れてきます。コストコもスーパーで販売したのは日本では東武がはじめてです。常に新しいことや、ものを見つけ出し取り入れるという思想が根付いているのが自社の強みだと思います。
これからは間違いなく地域の人口は減少しますが、大手の家具店が進出して来たことを考えるとまだまだこの商圏に伸びしろがあるのだと思います。競合店でも大手が来るというのは、町の活性化にもなりますし非常によいことだと思います。それを目当てに人が集まり、ついでにこちらにも来てもえるので、競合店があるということはお互いにとってプラスになります。
しかし、どこでも売っている商品を並べているだけでは選ばれるお店になりません。リピーターを作る魅力ある商品展開が、これからも必要になってくると思います。