2022年中古車市場が異常事態。国内中古車価格は過去最高水準に到達した。
インタビュー:佐藤 正吉(さとう まさよし)
Totalcar communication 株式会社 Casval 代表取締役
中古車相場が値上がりしている。生活必需品の物価上昇が続くなか、自動車業界にも値上げの波が押し寄せている。
地域では日常生活に欠かせない移動手段である自動車、中古車はなぜ高騰しているのか?
価格高騰の要因は
コロナ禍による、半導体不足、生産調整などサプライチェーンが滞り、思うようにものが作れなくなったことが大きな原因になってます。世界各地でロックダウンが起こり、製造工場が稼働しないので、部品の供給ができず、新車の納期が平常時より遅くなりました。
新車生産ができず、新車への乗り換えが減少したたため、中古車の在庫が不足したことが高騰の一因です。
日本車は世界中ですごく人気があり、需要が高いので、価格高騰に拍車がかかっています。ガソリン価格も高騰し、燃費の良いハイブリッド車など、人気車は特に高値で取り引きされています。需要と供給のバランスが見事に崩れてしまいました。
最近の車は、先進安全装備、ナビゲーションやカメラなどが搭載されており、半導体は不可欠です。国内では賄えないので、中国や台湾、韓国など海外に依存するしかなく、世界の自動車メーカーや家電メーカーと半導体を奪いあっている状況です。原材料の高騰で、相対的に値段が上がっています。
どの程度値上がりを
10〜15%ぐらいは値上がりしていると思います。人気車種はもっと上がっています。海外から買い付けに来ているバイヤーが、国内の販売店よりかなり高値で取引していることも高騰の一因です。車種によっては15%と言わず、30%以上高くなっている印象があります。
トヨタの人気車であるヴェルファイアやアルファードなどは、3〜4年落ちぐらいであれば、新車価格よりも高い場合があります。中東などで人気のあるランドクルーザーなども同じような傾向がみられます。円安の影響もあるのかもしれません。
アメリカ・北米では25年ルールがあり、右ハンドル車の輸入を認めていません。但し、製造から25年経過していれば、輸入することを認める特別ルールがあります。今から25年前というと1990年代の車、当時はマニュアルが主流で、シビック Type Rやスカイライン、排ガス規制なんてお構いなしで馬力がどんどん上がっていた時代の車が、高額で輸出されています。日本では、廃車寸前の雑品車のような扱いですが、100万円以上の価値で流通していくので、業者が取り合っています。
ユーザーの反応
新車の納期が間に合わないことで、中古車で間に合わせるという方も少なからずいらっしゃいます。新車の納期が伸びていることは、認知されてきているので、余裕を持ってオーダーを入れる方が増えています。新車の納期は半年から1年かかるのが当たり前となり、この状況がスタンダードになりつつあります。
この1年の傾向からいくと、新車の受注が非常に増えました。昨年よりも、新車の販売台数は多いです。4年落ち程度の中古車であれば、新車とそれほど価格が変わらないことで新車を選ばれるお客様が増えています。
新たな取り組み
軽トラックと軽バスのレンタカーを始めました。大手のレンタカー会社は、軽トラックと軽バスのような需要の少ない車の取り扱いを停止しています。その需要はゼロではないので、比較的安い価格で、用途に応じながら使っていただけるようにしています。
販売店としてのこれから
生活する上で車が必要な地域なので、車を維持していくことは必要経費として割り切らざるを得ないのかもしれません。
車にかかる税金の複雑さは、シンプルにしていうほしいと思いはあります。世界的に見ても自動車税は高いですし、燃料も税金がかかっているものにさらに消費税がかけられる。
取得税を環境性能割と文言を変えてお客様から徴収をする。税制がもうちょっとシンプルになれば、ユーザーの負担を減らすことができます。
車の需要がなくなるわけではないので、全く売れないということはありませんが、中古車の需要が増えてくるという感覚はありません。需要がないわけではないので、会社としては、お客様のニーズに合わせて、ピンポイントで仕入れをし余計な在庫は持たない。中古車価格の高騰という現実問題と、お客様の予算や希望のすり合わせをしながら、受注を取り付けていくしかありません。
(取材/2022年12月22日)
自動車は私たちの生活に欠かせない存在。買い換えを考えている消費者にとって頭の痛い問題だ。
【店舗情報】
Total Car Communication CASVAL(キャスバル)
営業時間 9時〜18時30分
TEL 0153-77-9387
定休日 日曜日・祝日
標津郡中標津町東13条北4丁目2番地3