この地域を襲う物価高騰の波|生活インフラを守るため消費者とともに、我慢の続く小売店

この地域を襲う物価高騰の波|生活インフラを守るため消費者とともに、我慢の続く小売店

生活に欠かすことができないガス、灯油などエネルギーの
価格はどのように変化しているか

インタビュー:松浦 隆弘(まつうら たかひろ)
株式会社 松浦商店 代表取締役


物価高騰による影響

 灯油、ガス、金物系、ビニール袋など、様々なものが値上がりしています。問屋からは9月から鉄アルミ系などの商品が2割くらい上がると聞いています。

 公共施設などにも納品している業務用のビニール袋も10%ほど値上がりしています。使用量の多いものなので、経費負担は大きくなっていると思います。

 ロシアによるウクライナへの侵攻で原油や液化天然ガス価格は高騰しており、ガスも原油価格が反映されるため、2020年4月に下がって以降ガス料金は上がり続け過去最高を更新。基本料金は20年以上同じ値段でしたが、今年の7月の検針分から100円値上げをしました。

 プロパンガス料金は価格を変更する際に、1ヶ月以上前までの事前告知が必要となりますので、簡単に料金を変更できません。告知後に仕入れ価格が上がっても売価に転嫁できず、小売店は我慢を強いられます。

 灯油においても同時期から価格は上がり続けています。2021年には1リットル100円を超え、2020年と比較すると1.5倍程度の値上がりしています。

 企業としては値段を上げることで売り上げは上がりますが、利益が増えるわけではありません。仕入れ価格が高い時の方が価格に転嫁しづらいので、利益が上げにくいかもしれません。

消費者の反応

 ガス、灯油は生活に必要なものなので、価格が上がっても販売量に大きな変化はありません。エネルギー価格の高騰は、報道などで情報を得て、値上げの告知をしても理解してくれるお客様がほとんど
です。しかし、お客様の負担額が増えることで売掛金の回収が難しくなるケースは出てきます。

 燃料油価格激変緩和対策事業で、燃料油元売りに補助金が支給されていますが、実効性がわかりません。消費者の出費が明らかに減る施策をしてほしい、実効性がわからないばらまきはやめてほしいと思います。

(取材/2022年8月11日)