この地域を襲う物価高騰の波|原油価格高騰で収益を圧迫。運輸業のこれから

この地域を襲う物価高騰の波|原油価格高騰で収益を圧迫。運輸業のこれから

燃油の高騰と不足を背景に、苦戦を強いられている運輸業界。地元企業はどのように立ち向かっていくのか。

インタビュー:土谷 悠介(つちや ゆうすけ)
東盛運輸株式会社 代表取締役


物価高騰による影響

 ロシアによるウクライナ侵攻、為替市場の影響もあり原油が値上がりしました。ガソリンや軽油はもちろんですが、石油由来のものはすべて上がっているので、タイヤやオイルも価格が上がりました。働き方改革で人件費が上昇しているので、整備費用も上がっています。

 2020年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で仕事量が減り、昨年から仕事量は戻りつつありますが、原油高の影響で利益は減少しています。運賃を上げなければ会社利益を確保できません。

 お客様に協力頂き、運賃の値上げを実施しています。ロシアによるウクライナ侵攻など社会情勢の変化により、先行きが不透明なこともあり、了承頂けないケースもあります。

業界の動き

 釧根地区トラック協会中標津支部の会員として活動に参加しています。運賃の値上げは業界全体の課題。もうひとつ人手不足という問題もあります。

 業界では2024年問題という働き方改革関連法によって、自動車運転業務の年間時間外労働時間に上限が設定されるという課題が控えています。例えばこれまで1日で運ぶことができた荷物が、労働時間の制限で2日かかりますとなれば、同じ荷物でも人件費が倍となるので大幅な値上げが必要となります。時間外労働の上限規制により、ドライバーの収入減少が見込まれ、人手不足に拍車がかかることが懸念されています。

今後の課題

 ドライバーの仕事が正しく評価され、ドライバーになりたいと思える職業にする。弊社では、5年ほど前から労働環境と労働条件を見直し、働き方改革に取り組んできました。

 もちろん運賃は安い方が良いと思います。質の高いドライバーを揃えることで、安定したサービスが供給でき、それに見合う対価を頂くことがサービスの維持につながります。運送業界が本格的に人手不足に陥れば、物流は止まり、ものが運べません。それでは、お客様も困ると思います。

 物流は社会インフラのひとつです。取引をする企業同士が対等な関係で向き合い、持続性のある業務遂行の方法を考えていかなければなりません。

(取材/2022年8月22日)