経営のためのノウハウを提供
月に一度士業3人が集うセミナー

経営のためのノウハウを提供<br>月に一度士業3人が集うセミナー

経営のためのノウハウを提供 月に一度士業3人が集うセミナー

それぞれの立場で会社経営に有益な情報を伝授する

インタビュー:株式会社経営サポート/代表取締役・税理士 小林 雄志(こばやし ゆうし
弁護士法人 荒井・久保田総合法律事務所/中標津事務所 所長弁護士 小田 康夫(おだ やすお
宗形一輝司法書士事務所/司法書士 宗形 一輝(むねかた かずき


中標津でビジネススクールを開講することになった経緯をお聞かせください

小林 もともと僕は簿記を教えるセミナーをやりたいという思がありました。3人で話をしているときによく地域おこしの話になります。必ずと言っていいほど中標津には高等教育を受ける場がないという話になって、高校を出た先で、より高い教育を受けようとするとどうしても都市部に出て行くことになってしまいます。例えば、札幌の大学に入った人が大学卒業した後に、中標津に帰ってくるかといったら札幌で職を見つけてしまったら帰ってきません。

 地域の人口を増やしていくには、地元にいても高い教育を受けられる環境を整えないとどうしても町から出て行ってしまうし、帰ってきても大変だよねなんて話をしていました。そういう話の流れの中で、いきなり専門学校や大学を作ろうというのは僕等の手に余るかもしれないけれども、前々からもう既に仕事をしている人向けのセミナーなら提供していきたいと思っていましたし、我々はせっかくいろいろなノウハウを持っているのだから、それを地域の人に提供するための学校を作ってもいいんじゃないかと考えたのがきっかけになっています。

 校舎を建てる必要はなく、僕らが提供するのはノウハウと時間だけなので、小さく始めて大きく育てていくことが大事だと思うので、それなら試しにやってみましょうという話になったのが一昨年8月頃です。

 構想を練って準備期間を設けて、試験的に10月に知り合いの人に声をかけ無料のセミナーを開きました。セミナーに参加してくださった人たちの反応は上々で「役に立った」「面白かった」と感想をいただいているので、来てくれさえすれば「聞いてよかったな」と思う話が提供できるという自信が僕らにはあります。それを受けて翌11月に正式にスクールを開講しました。

 聴きにくる人が少なくても、実際やることによってこちらもつかめてくるものがあります。どれだけの文字数でレジメを作っておくと、実際話すとどのくらいの時間がかかるのか、どんな話をしてい

くべきか、どんな人たちが聴きにくるのかなど少しずつ蓄積されて感覚つかんできているので、聞く側のニーズをくみ取ってより必要とされるものをコーティングしていきたいと思っています。

 スクールでは本当に聞いておいた方がいいという話しかしていません。そういうところにポイントを絞って話しているので絶対役に立ちます。でもスクールを行なっていることをを浸透させるのが難しいです。

小田 やっぱり大切なのはお金で、税金などがからむ税理士さんの仕事は特に経営に直結します。弁護士の仕事もまさにそこにあり、中小企業の経営者さんなどに有益な情報が提供できていると思います。特に近年では、経営者の平均年齢は60代から70代に差し掛かっています。事業承継の関連で税金や法律的な問題も多く生じています。それに関わる相続などの法律・制度も変わってきているので、そういった情報を提供していきたいと思っています。

宗形 僕は人に教えることをしたことがない人間で、自分の知識をどう伝えるかをおふたりの講座を見て勉強しながらやっています。ひとつのテーマに沿っていますので、それぞれの講座がリンクされています。事業構築に関して税理士から見た視点、弁護士から見た視点、司法書士から見た視点とそれぞれを受講していただいて、結局こうすればよかったのかと知ってくれればいいと思っています。

小林 雄志(こばやし ゆうし)

小田 康夫(おだ やすお)

宗形 一輝(むねかた かずき)

ういったきっかけでそれぞれの分野でプロである3人が出会ったのでしょうか

小林 宗方さんの事務所がうちの事務所のすぐ近くだったので、1度挨拶に伺ったのですが、何か話が合うので仲良くなった感じです。もともと宗方さんは小田さんと仲がよかったので、その紹介で小田さんとも知り合いました。

小田 僕と宗形さんは青年会議所でも一緒ですし、本業の方でも、登記業務を依頼したりする関係でした。

小林 3人とも共通しているのが、地域に対する思い強いところだと思います。僕はこの地域の人ではありませんが、縁があって中標津に来るようになったのでこの地域に対して貢献をしていきたいと思います。

小田 昨年5月にしるべっとにて、学生や一般の方に対し、私と宗方先生と小林先生の3人で「法教育セミナー〜将来、役しかたたない話」と題して法律セミナーを開催する予定でしたが、コロナ禍で中止になりました。青年会議所で企画したセミナーだったのですが、普通であれば数万〜十数万円かかるような内容の講義です。それを小林先生、宗形先生に無料で受けていただいたという縁もあって3人で地域のことを考えたりするようになりました。

本業が忙しい毎月3日間の講座は大変じゃないかと思います

小林 聞く側の人たちに分かってもらいたいことのひとつに、これはすごい得なセミナーだと言うことがあります。こんな内容を1時間3,000円では聞くことができません。僕らはもともと伝えていきたいという思いが先にあるので、採算を度外視した金額設定でやっています。役に立つ内容ですしかなりお得です。その事を皆さんにわかってもらいたいという思いは強くあります。

小田 ビジネススクールは外部講師を呼んでやろうとすると、本当にお金がかかります。講師に依頼する費用が、当然、受講者に跳ね返ります。仮にこれを東京でやったとしたら、受講料は1万5千円くらいかかっていてもおかしくないと思います。それでも今回のセミナー、無料でやってもいいと思っていました。それでもよかったんですけど、ただ無料だと結局持ち帰ってくれないといいますか、無料のものって結局頭から抜けしまうんです。それもあって一定の価格設定はした方がいいかなと思い、今の金額設定をしました。

実際開講されてからどのように感じていますか

小林 やるたびに思うのは、やはりこれを伝えるべきだと考えた僕の感覚そのものは間違ってなかったということです。皆さんちゃんと聞いてくれます。やはりつまらない話をすると、聞いていないなというのがなんとなくわかるものなのですが、そういう感触を抱いたことはまだ一度もありません。自分がピックアップしたテーマ、その説明の内容は間違ってないなと僕は思っています。

 そもそも本来このセミナーで喋っているような内容は、自分の税理士事務所の職員たちに伝えるべきことです。そのくらい大事なことを話しています。ともすれば税理士事務所の職員ですらわかっていないかもしれないような大事なことを伝えるようにしているので、これまでのところ手応えは十分に得ています。

小田 まだ数回なのではっきりしたことは言えないのですが、いまはYouTubeで検索すると法律の話を弁護士がする動画が結構あります。でも本来伝えたいことの何割が伝わっているのか、結構割り引かれちゃうんです。

 対して対面で話すことで、伝えたいことが伝わりやすいですし、分からないところがあったら質問をしてもらってさらに情報の追加もできるので対面でのセミナーにはそれだけでもとても意味があるものですし、何回かやった雰囲気を見ても僕らと受講者のコミュニケーションが取れているので、楽しいなと感じていただけていると思います。

宗形 まずは1年やってみようと思っています。司法書士になって受ける仕事の割合は会社の登記というのはそんなに多いわけではなく、ほとんど不動産や相続関係です。これまで数回やって会社の話はしましたが、これからはそういう関係の話もしてきたいと思っています。例えば遺言の書き方とか、相続のことを話していけば、もう少し焦らずに済む人がいるのかなと思います。

 亡くなってからあたふた税金や不動産がどうのこうのやっても、財産は目減りしてしまいますので、生きているうちからサポートするのが士業だと思いますし、そういう準備をしていくお話の方がいいかなと今思っています。事前の準備、覚えておけばためになる話をどんどんしていこうかなと思っています。

(取材/2022年1月12日)