混雑緩和とプライバシー保護を同時に解消
町立中標津病院に導入された
案内表示システムと自動精算システム
インタビュー:走出 利政(はしりで としまさ)
町立中標津病院 医事課課長
今回病院で導入されたシステムはどのようなものですか?
外来の案内表示システムと自動精算機を導入しました。もともと自動受付機は設置されていましたが、新しいシステムでは受付機に診察券を通すことで、患者さんひとりひとりに受付番号が付番されるようになります。これで受付や外来で名前を呼ばずに番号で患者さんを呼ぶ流れとなり、そのため各外来に番号を表示する表示板を設置しました。受付番号はその日、受付機を通した順番の連番になっていて、その日の会計が終わるまでその番号で呼ばれるようになります。
これまで予約の患者さんはその自動受付機を使わなくても、そのまま外来に行って診察券を出したら診察できるようになっていましたが、今回システムが変わったことによって、番号を付番する必要があるので、全ての患者さんが一度受付をする必要があります。
システムの導入により、外来の混雑をある程度避けることができ、会計の待ち時間を短縮することが出来るようになると考えています。
受付機で受付をして番号が付番されますが、その月初めての来院時には、保険証の確認をさせてくださいと表示が出ますので、その場合、総合受付で保険証の確認をしてから外来に行っていただくようになっています。
ロビーに設置された自動精算機
外来に設置された案内表示モニター
個人情報の保護が主な目的ということでしょうか
プライバシー保護の観点は大きいです。例えば名前を呼ばれることによって、病院に来ていた知り合いなどに「どこか悪いの?」「内科にかかってたよね?」「産婦人科行ってたよね?」などと聞かれることに対して嫌悪感を持つ方もいらっしゃいました。昨今の社会情勢もありますし、個人名で呼ぶのではなく、番号で呼ばれることでプライバシーの保護という観点でのメリットもあると考えております。
番号表示システムなので、受付した自分の番号がまだ表示されていなければ、少し気持ちにも余裕が生まれて、その間トイレに行ったり、少し病院を離れるなど時間の有効活用が出来ると良いかなとも思っています。
順番が分かりやすくなることで待合での混雑の緩和にもつながります。今後LINEの通知システムの導入を予定しています。これが導入されれば順番が近くなるとLINEで通知がいくようになるので、極端な話、院内にいなくても駐車場で待ったり、他の場所へいっていても順番が近くなったら病院に戻ってくることができるので便利になるのではないかと思います。
自動精算機はどういったものなのでしょうか
今までは全て窓口でやっていたものを、2台のATMような機械を使用して会計が出来るようになりました。これも受付で付番された番号と連動しています。診察が終わったら会計をするための用紙を窓口に出していただきます。計算が終わったらロビー窓口の上にあるモニターに番号が表示されるので、自動精算機で会計をすることができます。診察券や受付の際に機械から出る受付用紙にバーコードがついていますので、それを読み取るようになっています。
自動精算機は8時30分~16時30分まで稼働しています。もし当日会計をしないで帰ってしまうことがあったとしても、翌日通常通り会計をすることが可能です。窓口に来なくても会計が出来るところも便利になったと思います。自動精算機は現金だけでなく、クレジットカードを使うことも可能です。
もちろん従来通り窓口で会計していただくこともできます。それと夜間・休日に急患でかかった場合、後日清算となるので、これまで通り窓口での精算になりますのでお気を付けください。
コロナ禍も影響しているのでしょうか
やはりコロナ禍の影響も大きかったです。院内は時間帯によっては非常に混み合いますので、それを軽減することが必要でした。患者さんによっては会計の時の接触を避けたい方がいらっしゃいましたが、受付も会計も機械でおこなうので、人の手を介することがなくなり感染予防にもつながります。回転率も良くなりました。12月6日からシステムを稼働しているのですが、従来の会計よりもかなり時間が短縮されています。また、機械で清算を行うことでおつりの渡し間違いもなくなります。
年配の方の中には機械に対して苦手意識のある方も多いと思いますが、銀行のATMを使える方であれば、それよりも簡単に使っていただけると思います。市立釧路総合病院にも同じシステムが入っているので、そちらを受診されたことがある方は問題なく使用できると思います。
システムが変わったことによる混乱や使い慣れない方のために当面の間、自動精算機の前に1人、受付の前に1人スタッフが立ってご案内しています。当初は「めんどくさくなったね」という言葉をいただくこともありましたが、稼働から1ヶ月が経ちご年配の方々でもスムーズに使用されているように感じます。
(取材/2021年12月28日)