多くの人の協力で個人の夢がみんなの夢に
インタビュー:木嶋 宏之(きじま ひろゆき)
べつかいに熱気球をあげる会 会長/KZM・セキュレント 代表
丹羽 有司(にわ ゆうじ)
べつかいに熱気球をあげる会/丹羽ふとん店 代表
なぜ熱気球を上げようと思ったのでしょうか
木嶋 コロナ禍で、子どもたちの遊びに行く機会が減ってしまいました。1年目は今年我慢すればという思いもあり、何かしようとまでは考えていませんでした。コロナ禍2年目となり、まだ収束が見込めない状況でしたので、何か喜ぶようなことをして、子どもたちの笑顔が見たいと思いました。
もともと興味のあったアウトドアのひとつが熱気球でした。いつか事務所の目の前に広がる牧草地で、熱気球をあげたいと思っていました。熱気球への思いと、子どもたちを乗せることで、子どもたちの笑顔にもつながると思ったことが、今回のイベント開催のきっかけです。メンバーは僕の同級生、子どもが幼稚園に通っていた頃に知り合った方、幼稚園の教員をしていた親戚など、子どもたちが参加するようなイベントであれば協力してくれるだろうと思い、声をかけていきました。
丹羽 会長がこういうことをやりたいと言ったら、「いいよー」という感じのノリのよいメンバーが集まりました。快く賛同してもらい手伝ってもらっています。
木嶋 本当は自分で熱気球のライセンスを取り、熱気球をあげたいという思いがありました。ライセンスを取得し、イベントで操縦できるようになるまでには何年もかかります。今回は熱気球運行の専門会社に依頼し、あげてもらうことにしました。
商工会に今回のイベントについて相談したところ、町の補助金が使えるかもしれないと助言をいただきましたが、申請には別海町民5人以上で構成される団体が必要でした。
4名の方に賛同してもらい「べつかいに熱気球をあげる会」という団体を作り、企画には補助金も活用できました。
丹羽 有司(にわ ゆうじ)
木嶋 宏之(きじま ひろゆき)
イベント立ち上げまでの流れをお聞かせください
木嶋 開催に至るまでの準備は皆で進めてくれました。補助金についてやチラシの制作、資金集めもアドバイスをもらいましたし、FacebookやInstagramもメンバーが率先的にやってくれています。僕はやりたいという思いだけで、あまり苦労をしていません。会議の時もみんなで熱心に話し合ってくれました。自分だけでは企画の実現ができなかっただろうと思います。
丹羽 熱気球あげるから手伝ってと言われ軽い気持ちで「いいよー」と返事をしましたが、「熱気球ってどうやってあげるんだ?」と基本的なこともわかりませんでした。今回イベントで熱気球をあげてくださる業者さんが、近くで熱気球をあげるというので、お手伝いをしに行きました。実際に経験し、熱気球はこうやってあげるんだと自分の中に落とし込み、みんなに声かけをしていきました。
木嶋 補助金を申請して、採択されたことが町の広報に載りました。広報を見て、熱気球にすごく興味があり、役場に問い合わせをしてくれて加わったメンバーもいます。その子はなんと熱気球のパイロットライセンスを持っていました。僕以上に熱気球を好きな人がいることには驚きましたが、今では熱気球のわからないことを教えてもらったりもしています。大変、強力なメンバーが増えました。
メンバーの他にも、熱気球に興味があったり、好きだから手伝わせてくださいという方がいらっしゃいました。熱気球に興味のある方が、たくさんいることを知りました。
当日は、熱気球は業者の方が上げるので、僕たちは搭乗する方の案内や、車で来られる方の交通整理をします。熱気球は1機で、1度の飛行で4~5人乗ることができます。30組を予定していて、最大150人の方に熱気球に乗っていただけます。申し込みが63組あるので、抽選となり乗れない方もいらっしゃいます。
クラウドファンディングをされたと聞きました
木嶋 クラウドファンディングで支援金も募りました。商工会がACTNowという、クラウドファンディングをサポートしてくれる会社とコンタクトを取ってくれました。メンバーとACTNowで打ち合わせ・Zoom会議をしながら支援金の計画を進めました。
11月15日に目標金額50万円でスタートし、12月19日に終了したのですが、58万7千円と目標よりも多くの支援金が集まりました。
クラウドファンディングには支援金額によってリターンがあります。リターンには熱気球に乗れる優先チケット、別海町の海産物と乳製品、ロマンのポークチャップ、一番に乗れる優先チケット(日の出チケット)などを用意しました。法人用に熱気球の乗るカゴ部分に広告を貼るというものも用意しました。
今後もこのイベントを継続しようと思いますか?
木嶋 継続してやりたいという気持ちはあります。今回抽選に漏れた方もいらっしゃるので、年に2回ぐらいのペースでできたら喜んでもらえるかなと思っています。たくさんの方に熱気球に乗って楽しんで欲しいという思いはあります。
イベントの運営には経費がかかるので、予算の捻出が今後の課題です。今回イベントで乗っていただいた方たちにアンケートを取り、どこで乗ってみたいか、どの時期に乗ってみたいかという項目を参考にしながら、今後の場所や時期など企画を練っていこうと思います。
今回のイベントをきっかけに、自分たちで企画を組み、イベントの開催ができることを知ってもらい、やりたいという声がたくさん上がれば町も活気づくかなと思っています。
僕は「熱気球」を思いついただけですが、やりたいと思っていても実行できない方がたくさんいると思います。このイベントがその方たちの行動のきっかけになってくれたらうれしいです。
(取材/2021年12月24日)